研究課題
宿主細胞に対する淋菌株間の反応性の違いについて比較検討するために、培養細胞 (HeLa細胞)を用いた淋菌の細胞接着性について検討を行った。現在の流行株を遺伝学的に分類するために系統解析を行った。系統解析は、前年度までに2015年度分離株 (n=205)のゲノムシークエンスデータ (illumina MiSeqシステム)を得て、Multilocus sequence typing (MLST)法により行った。その結果、MLST1901、MLST7363、MLST7819、MLST7359、MLST1579の合計5系統が代表的な系統を示すことを明らかにした。MLST7359系統に属する株の多くは、治療薬剤に対して感受性を示した。これら5系統に属する菌株による培養細胞を用いた感染実験 (MOI=10、90min)において、培養細胞に接着した菌数をカウントした。培養細胞に対する細胞接着性については、淋菌株間に差異が見られた。しかし、この差異は系統に依存した結果とはならなかった。次に、宿主細胞の炎症反応に影響を与えるLOS (lipooligosaccharide)の発現パターンについてこれらMLST1901、MLST7363、MLST7819、MLST7359、MLST1579の合計5系統の株について調べた。LOSの抽出はホットフェノール水抽出法にて行った。SDS-PAGEによる展開後、銀染色を行った。その結果、淋菌株間においてその発現パターンに若干の差異が見られたが、系統に依存した差異は認められなかった。
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