研究課題/領域番号 |
16K11066
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
升谷 耕介 九州大学, 大学病院, 講師 (30419593)
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研究分担者 |
鶴屋 和彦 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20372740)
土本 晃裕 九州大学, 大学病院, 助教 (50572103)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | BKウイルス腎症 / 腎移植 / 病理組織診断 / 免疫組織染色 / SV40 large-T抗原 |
研究実績の概要 |
当科で病理組織診断を行った経皮的腎生検数は1998年以降の累積9523件にのぼり、1998年以降、申請者が診断した生検件数は4744件、そのうち移植腎生検は1967件である。さらにそのうちBKウイルス腎症と診断した件数は平成29年3月末までで24症例38生検であった。腎移植症例におけるBKウイルス腎症の頻度は当院の移植症例の2%であり、諸外国のそれとほぼ同じであった。そしてBKウイルス腎症の生検数は単施設としては国内屈指の診断件数である。 これらの症例において、平成28年度は移植関連項目を含む患者背景と臨床検査値、診断後の治療内容と臨床経過の抽出を完了した。移植腎生検組織は炎症細胞浸潤、尿細管炎、間質線維化/尿細管萎縮、毛細血管炎など、個々の移植腎病変を最新の移植病理国際分類(バンフ分類)、およびBKウイルス腎症の病理組織分類(米国移植学会分類2013)に基づいて半定量的に評価した。現行でBKウイルス腎症の診断の決め手となる生検組織中を用いたSV40 large-T抗原免疫組織染色を行い、組織のBKウイルス量もSV40 large-T抗原陽性尿細管の割合 (pvlスコア)で評価した。このスコアも移植病理国際会議(バンフ会議)で提唱された方法に沿って評価している。 今回リストアップした生検標本を用いてSV40 large-T抗原よりも陽性細胞を多く検出できると今回想定しているBKウイルスVP1抗原に対する市販の抗体を入手し、染色条件を確立すべく条件設定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎移植後BKウイルス腎症の症例を遡及的に抽出し、また、本研究開始後新規に診断した症例もあり、治療後の再生検でまだウイルス腎症が残存している生検と合わせると24件38生検に上り、単施設としては国内でも随一の規模となりうるため。
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今後の研究の推進方策 |
まずはBKウイルスVP1蛋白の免疫組織染色の条件を確認すること。その後、既存のSV40 large-T抗原染色結果と対比して、より多くの陽性尿細管を検出できるか否かを検討する。それが終了した場合は、移植腎病理ではBKウイルス陰性と診断されながら血中にBKウイルスが検出された症例が数例あると予想されるため、それらの症例を抽出し、SV40 large-T抗原染色では陰性の結果となった症例に実はVP1染色を行えば腎症と診断出来る可能性があった症例の有無を評価する。
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