移植医療の臨床では,移植臓器の血管を傷害する慢性拒絶反応が重要な課題となっている.一方,血管内皮細胞の表面にはグリコキャリックス(糖衣)と呼ばれる糖タンパクの薄層があり,血管を場とする様々な反応を制御している.このグリコキャリックスを電子顕微鏡で立体的にとらえる簡便な方法を確立した.マウス腎組織をアルシアン青含有ホルマリンで固定し,パラフィン切片に銀染色を行うと,走査型電子顕微鏡でグリコキャリックスに付着した銀粒子を立体的に明瞭に捉えることができた.この方法はグリコキャリックスと拒絶反応の研究に役立つ.
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