研究課題/領域番号 |
16K11080
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
高橋 俊文 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20302292)
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研究分担者 |
菅沼 亮太 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30528211)
堤 誠司 山形大学, 医学部, 准教授 (50323168) [辞退]
五十嵐 秀樹 山形大学, 医学部, 講師 (80333970) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 卵の加齢 / ミトコンドリア / マイトファジー / LC3 / Parkin / 加齢マウス |
研究実績の概要 |
女性の加齢による妊孕力低下の原因として、卵の加齢による卵の質の低下が重要である。卵の質の低下は、ミトコンドリア機能低下によるATP産生低下が一因である。本研究では、ミトコンドリアの品質管理に着目し卵の質の低下のメカニズムを検討する。卵の加齢とオートファジーによる選択的ミトコンドリア分解機構(マイトファジー)の変化を解析し、マイトファジー制御機構の活性化を標的とした“卵の質の低下”に対する新しい予防・治療法の開発を目指す。2017年度(研究初年度)は、排卵後加齢卵を用いた実験系にて、①ミトコンドリア転写因A(mitochondrial transcription factor A, TFAM)の発現量の変化とミトコンドリア局在の変化、②オートファジー検出のマーカー分子であるLC3発現、③マイトファジーのマーカーであるParkinの発現、④マイトファジー誘導下でのLC3またはParkinのミトコンドリアとの局在を返答した。2018年度は、母体加齢においても同様の現象が起きているかどうか検討を行うことにした。母体加齢は、生後約1年の加齢マウスを用いて検討を行った。まず、はじめに加齢マウスの卵の質の低下が起きているかどうか、in vivoおよびin vitroでの受精および胚発育について検討を行った。加齢マウスを成熟雄マウスと交配させ、腟栓を確認後day 1に卵管を採取し、前核期胚を採取、胚盤胞形成について検討した。また、アポトーシス陽性細胞の割合を検討した。加齢マウス由来のin vivo胚は、若年マウスと比べ有意に胚盤胞形成率が低下し、アポトーシス細胞の増加が認められた。In vitroの体外受精実験では、加齢マウス由来の卵子は受精率および胚盤胞形成率が若年マウスと比べ有意に低下した。今回用いた生後1年のマウスは卵の質の低下を評価する実験系に用いるのは妥当と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年は加齢マウスを用いたマイトファジーの変化に関する検討を行う予定であった。しかしながら、加齢マウスを用いる実験系の問題点として、①飼育に1年以上の時間を要すること、②一匹から採取できる卵子数が若年マウスと比べ著しく少ないことがある。今回も加齢マウスとして研究に用いることが可能か妥当性を検討したため、マイトファジーの変化に関する検討を行うことができなかった。以上の理由で実験がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、加齢マウスを用いた母体加齢とマイトファジーの活性化の有無を明らかにする実験を行う予定である。加齢マウスから得られる卵子数は少ないため、蛋白レベルでの量的な変化を検出する方法は適切でなく、LC3やParkinなどの発現を免疫蛍光染色にて検討することにする。少数例での検討となるが、統計学的に検定が可能となるレベルまで実験を継続する予定である。可能であれば、マイトファジーの活性化および抑制による胚発育の影響を検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね交付された研究遂行のために必要な物品の購入を行ってきたと考える。2018年度は研究最終年となるため、研究計画に沿って助成金を活用する予定である。
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