研究課題/領域番号 |
16K11083
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
木村 文則 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90322148)
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研究分担者 |
村上 節 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20240666)
竹林 明枝 滋賀医科大学, 医学部, その他 (00402735)
高島 明子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20452245)
平田 貴美子 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (40727690) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性子宮内膜炎 / 着床障害 / 脱落膜化 / 上皮間葉転換 / 子宮内膜症 |
研究実績の概要 |
慢性子宮内膜炎(Chronic endometritis:CE)の着床への影響を検討するためヒト凍結融解胚盤胞移植を用い検討した結果、単一凍結胚盤胞移植の臨床妊娠率は、33.3% (6/18) vs. 62.9% (22/35) (P<0.05)と有意差を認めた(投稿中)。子宮内膜間質細胞を単離し、13日間培養した後、プロラクチン(以降PRL)とIGHBP-1の細胞当たりの分泌量をELISA法で、細胞中の合成蛋白量をwestern blottingで、RNA量を定量的RT-PCRで検討した結果、CEが、脱落膜化を障害することが明らかとなった。また、ERα、β およびPRA、Bの間質における発現が、低下していることが明らかとなった(published)。そこで、胚由来因子であるLysophosphatidic acidをCEの子宮内膜間質細胞培養液中に添加し、培養を行ったが、脱落膜化は改善しなかった。我々は、CEと細胞分化異常である上皮間葉変換(EMT)を調べるため、Eカドヘリンの消失とNカドヘリン発現について免疫染色法を用いて検討したところ、CE群とnon-CE群の Eカドヘリン消失、Nカドヘリン出現がそれぞれ40.82% (20/49) vs 7.5%(3/40) (P<0.001)、57.14% (28/49) vs 25.0%(10/40) (P<0.003)となった。CE患者では、高率にEMTが誘導されていることが明らかとなった(投稿中)。また、CE群とnon-CE群の着床期子宮内膜の切片における単位面積あたりの肥満細胞数は40.16±5.88 vs 11.23±2.36 (mean±SEM P<0.0001)となった(同投稿中)。このようにCEは、子宮内膜間質細胞の脱落膜化を阻害するのみならず、細胞の特性や子宮内膜の免疫系細胞の分布まで変化していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性子宮内膜炎の子宮内膜脱落膜化への影響は、予想よりも大きく少ない検体で脱落膜化を障害することを証明できた。胚由来因子による脱落膜化への影響は、脱落膜化の指標であるPRLとIGFBP1の発現量の変化では明らかとならなかったため、慢性子宮内膜炎の子宮内膜への新たな影響を探る必要となった。 今回、方向を転換し、CEがEMTに深く関与していること、肥満細胞の分布も異なるようになることを見出した。 これにより2018年度にCE患者へ抗生剤の投与を行い、慢性子宮内膜炎を治療した後に、その前後で子宮内膜の脱落膜化、EMT、肥満細胞の出現がどのように変化するかを検討する。
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今後の研究の推進方策 |
CE患者へ抗生剤の投与を行い、慢性子宮内膜炎を治療した後に、その前後で子宮内膜の脱落膜化、EMT、肥満細胞の出現がどのように変化するかを検討する。
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