研究課題
慢性子宮内膜炎の生殖機能への影響を明らかにするために臨床研究と基礎研究を実施した。臨床研究においては、まず、前向き研究で体外受精胚移植の胚盤胞移植を用いて着床能への影響を明らかにした。その結果、慢性子宮内膜炎が存在すると胚の着床率が著しく低下することが明らかとなった。次に後方視的研究であるが、慢性子宮内膜炎の妊娠へ及ぼす影響を検討した。その結果、慢性子宮内膜炎患者が、妊娠すると非慢性子宮内膜炎患者に比し流産率、早産率が高いことが明らかとなった。さらに慢性子宮内膜炎患者の流産検体を検討すると非慢性子宮内膜炎患者の流産検体に比し慢性脱落膜炎の頻度が高いことが明らかとなった。このようなことから慢性子宮内膜炎は着床に影響するばかりでなく、妊娠予後にも影響することが明らかとなった。基礎研究として慢性子宮内膜炎の子宮内膜間質より炎症性サイトカインがより多く分泌されていること、T細胞亜群の分布が変化すること、脱落膜化に影響することが明らかとなった。これらの基礎研究をもとに慢性子宮内膜炎患者の脱落膜化を改善する目的で黄体ホルモンを増量し体外受精を行うと妊娠率が改善した。基礎研究の結果から臨床成績改善の直接的な結果を導きだすことができた。現在1本の論文が受理され、2本の論文を投稿、4本の論文を投稿準備中である。また、学会発表などにより評価を得て、今までの研究のまとめを第71回日本産科婦人科学会学術講演会のシンポジウム(2019年4月開催)で発表することができた。また、日本産科婦人科学会の英文official journalであるjournal obsteterics and Gynaecology Research誌よりreview依頼がありpublishされた。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 1件、 招待講演 23件) 図書 (4件)
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