研究課題/領域番号 |
16K11084
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
巽 啓司 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (10324633)
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研究分担者 |
近藤 英治 京都大学, 医学研究科, 講師 (10544950)
小西 郁生 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (90192062)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胎児発育不全 / Shh pathway / 胎盤 |
研究実績の概要 |
健全な胎児発育の成否は、主に胎盤機能に依存している。胎盤機能が著しく低下すると、胎児発育不全 (fetal growth restriction:FGR) をきたすだけでなく、早期の娩出を余儀なくされるため、脳や肺など主要臓器の機能が未熟であり、児の死亡率、合併症罹患率が高くなる。 平成28年度は胎児発育不全群と対照群 (各n=10)の胎盤を採取し、Shh pathwayを構成する遺伝子群の発現解析を行った。Shh pathwayの活性化の指標であるShhの受容体 Protein Patched homolog 1(PTCH1)は、FGR群で有意に低下を認めた。またPTCH1の発現は、児の出生時体重や胎盤重量と強く相関していた(r=0.7807,P<0.0001; r=0.5839,P=0.0069)。Shh pathwayの下流にある転写因子GLI2発現がWestern Blot 法および免疫組織染色法によりFGR胎盤で低下していることを確認した。 つぎに、母体-胎児間のガス交換や母体からのグルコースやアミノ酸の供給に、合胞体栄養膜細胞は重要な役割を果たしているが、機能低下を来した胎盤では、絨毛の過成熟や胞体結節が多数認められることに着目し、合胞体性栄養膜細胞への分化とShh pathwayとの関係について検討をおこなった。胎盤から細胞性栄養膜細胞を分離して培養し、Shh pathway阻害剤であるCyclopamineを添加したところ、Syncytin-1,2やGCMの発現が低下し、hCG産生能も低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は1. Shh pathwayを構成する遺伝子群の発現解析、2. Shh pathwayの機能解析を予定し、順調に実験も遂行されているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は当初予定通り研究を推進する。すなわち、低酸素、炎症、酸化ストレスがShh pathwayに及ぼす影響を解析する。また、Shh pathway主要構成遺伝子の発現制御を明らかにするため、Shh pathwayを構成する主要な転写因子であるGLIのメチル化について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
該当金額では必要試薬の購入が難しく、次年度予算と併せて必要試薬購入予定として繰越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予算と併せて試薬代に充当する。
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