研究課題
日本における子宮体がんは近年増加傾向にあり、2011 年の報告では、40 歳未満の若年者の占める割合は5.5%である。子宮と卵巣の外科的摘出手術およびステージングにより術後補助化学療法が標準治療である。近年の晩産化にともない、若年性の初期子宮体がんの妊孕性温存の需要が増加している。妊孕性温存療法として、MPA(酢酸メドロキシプロゲステロン)による黄体ホルモン療法(MPA 療法)が一般的である。基本的には子宮筋層への浸潤を認めない類内膜腺癌(G1)が適応である。治療効果の報告はばらつきがあるものの、一様に奏功率は高いが(66-76%)、再発率も高い(48-70%)。再発を回避するためにはMPA 療法に奏功後、早期に妊娠する事が唯一の方法である。しかしながら、MPA療法中に治療効果判定のために物理的に子宮内膜掻爬を繰り返すために、子宮内膜が菲薄化しなかなか妊娠に至らない。子宮局所を標的として選択的にがん細胞死を誘導する事ができれば、若年性初期子宮体がんの効果的な妊孕性温存療法になり得ないかと考えた。子宮は腟から直接的にアプローチが可能な臓器であり、局所療法のよい標的臓器であるにもかかわらず、子宮を標的としたdrug delivery system (DDS)だけでなく遺伝子導入方法すら一般的でなかった。我々はマウス子宮に一過性に遺伝子導入する方法を開発してきた経緯があり、この知見を基礎に本研究に応用する。若年性子宮体がん患者の妊孕性温存療法として、子宮局所で選択的にがん細胞に対して細胞死を誘導するような方法を検討した。
2: おおむね順調に進展している
Xを用いて子宮局所で、がん細胞に選択的に細胞死を誘導する戦略の下、いくつかのヒト子宮体がん細胞株を用いてin-vitroで検討を行った。in-vitroにおいてXの添加によりdose dependentにアポトーシスが誘導される事を確認した。in-vivoでの検討をするためにヒト子宮体がん細胞株の異種同所移植モデルマウスの作製を行った。luciferaseを恒常的に発現したヒト子宮体がん細胞株を作成し、これを移植した。in-vivo imaging systemによりリアルタイムで観察する事ができる事を確認した。組織学的に検討するために抗ルシフェラーゼ抗体を用いて検討を行った。
異種同所移植マウスににおいて、in-vivo imaging systemによりリアルタイムで腫瘍のサイズを観察できる事は確認したものの、子宮の位置により感度が変化してしまうため、子宮の位置を固定する事が必要である。その上で、今年度はin-vivoにおけるXの子宮局所における抗腫瘍効果について検討を行う。また、Xによるアポトーシス誘導過程のメカニズムをin-vitroおよびin-vivoでさらに検討していく予定である。
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