研究課題
現在の不妊治療において子宮の着床能を前方視的に評価し、それに対する治療を提供する事が求められている。問題のないカップルがタイミングのあった性交渉をしたとしても、月経周期あたりの妊娠率は40%を超える事はなく、生児獲得率は10-25%と考えられてきた。古くから、ヒトの生殖効率の低さは、着床の過程によるものであると考えられてきたが、実際の臨床では妊娠の帰結により後方視的に着床の帰結を知る事になる。ヒトの着床能は月経周期ごとに変化するのであろうと漠然と考えられてきたものの、それを言及するに至る証拠はない。一方で、受精、その後の発生を確認する事ができる体外受精ー胚移植術施行患者で、明らかな原因が見つけられないまま、治療を繰り返すものの妊娠に至らない症例に対して、不妊原因が着床不全ではないかと考える。しかしながら、このような患者が治療の休止期に自然妊娠する事はそれほど稀な事ではない。これら事象より、ヒトにおいて子宮の着床能は月経周期により変化する事を大前提として、子宮の着床能を前方視的に評価し、適切でない周期においては、受精卵(胚)を凍結しておく、もしくは積極的に治療を休止する戦略により現在の不妊治療の効率向上できないかと考えた。子宮内膜環境全体におけるムチンなど糖タンパクの変化全体を電気生理学的に検討する事により、子宮の着床能を評価できないかと考え、パラメータの検索をおこなってきた。我々は、パラメータXおよびYにより、子宮の着床能が前方視的に評価できる事を確認し、プローブの製品設計を行った。これらパラメータが変化する物質的基盤の解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
胚移植は超音波下に子宮腔内に直接カテーテルを挿入して行う。この時、カテーテルにより子宮内膜に物理的侵襲がないようにカテーテルの素材は、例えばシリコン製のカテーテルであったりと様々な工夫がされたものが商品化されている。本案件のプローブの本体部分もこれまで市販されている胚移植用カテーテルを参考にして作製した。カテーテル表面の電極はカテーテルの永久ひずみにより接触面が担保されない事が明らかとなった。そのため、すべての導線と電極は直接接着させる事が必要である事が明らかとなった。当該製品は将来的にディスポーザブルの商品になる事を想定しているため、大量生産できるような製品設計である必要がある。プローブの導線と電極はレーザー溶接の手法により、安定的に作製できる事を確認した。この概念の効果を証明するためには、大規模な臨床研究が必要になる事が想定される。そのため、論文採択の後に、積極的に海外施設のセミナーにて、本プロジェクトの概念実証について講演の機会を頂き、情報発信に努めた。当該パラメータの変化について物質的基盤を直接説明するような生化学的データの必要性について指摘を多く受けた。これについて、英国マンチェスター大学のJohn Aplin教授と共同研究をする事になった。
ヒトにおいての検討を施行するのに並行して、マウス子宮を用いて物質的基盤の検討についての検討をAplin教授と共同研究で行う。
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