研究課題
現在の不妊治療において子宮の着床能がブラックボックスのまま回数を繰り返しているのが現状である。日本は世界で年間の生殖補助医療症例数が最も多い国の一つである。2016年における生殖補助医療施行症例数は約44.7万周期、その結果約5.3万人が出生した。つまり治療周期あたりの生児獲得率は約11.8%にすぎない。一方で、これは全出生児の5.3%を占め、社会における需要の増加が認められる。我々は生殖補助医療の治療効率を向上するために、これまでブラックボックスであった子宮の着床能に対して前方視的に評価する医療機器の開発を行ってきた。着床期にむかって子宮内膜上の粘液物質が変化する事が古くから知られている。ほとんどが単一物質の発現の変化の検討にとどまりどのような過程で変化するのか、全体的な環境の変化については不明のままであった。糖鎖の硫酸化およびシアル酸化の変化に着目し、子宮内膜環境全体としての変化として硫酸化およびシアル酸化されるのであれば、これを電気生理学的にとらえる事ができないかと考えるに至った。電気生理学的パラメータXおよびYによって着床期子宮における変化を検出する事ができる事を確認し、マウスおよびヒトにおいても子宮の着床能をこれらパラメータによって前方視的に評価できる事を確認した。本研究では事業化のためにディスポーザブルのセンサー部分を製品設計するとともに、一方で物質的基盤についても検討を行った。マンチェスター大学産婦人科のAplin教授, Jones先生の協力の下、着床期において全体的には硫酸化ムチン、硫酸化プロテオグリカン、シアロムチン、ヒアルロン酸、ムコ多糖とともにSiaα2-3Galの存在が確認された。そして、着床不全の病態に対しては、硫酸化ムチン、硫酸化プロテオグリカン、シアロムチン、ヒアルロン酸、ムコ多糖の発現が変化している事が示唆された。
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