研究課題/領域番号 |
16K11094
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
河野 康志 大分大学, 医学部, 准教授 (40274758)
|
研究分担者 |
奈須 家栄 大分大学, 医学部, 教授 (30274757)
楢原 久司 大分大学, 医学部, 教授 (60211447)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 子宮内膜 / 脱落膜 / ケモカイン |
研究実績の概要 |
低反応レーザーによる子宮内膜の反応を検討するために、子宮内膜間質細胞の脱落膜化により細胞自身がどのような反応を引き起こすか、さらにこれらの現象が妊娠維持や流産および不育症などの生殖現象にどのように関わっているかを調べる目的で検討を行った。 子宮内膜間質細胞を分離、培養し、Confluent状態を確認後、dibutyrl(db)-cAMPとmedoroxyprogesterone (MPA) で刺激し、脱落膜化を誘導した。脱落膜化細胞においてプロテアーゼ活性化型受容体(PAR)-1 mRNAならびに蛋白の発現を認め、さらにPAR-1のagonistであるTRAP-6を添加し、IL-8、MCP-1、MMP-1等のmRNA発現をreal-time PCRで、また培養上清中の蛋白産生をELISA法で確認した。PAR-1の下流に存在するERKのリン酸化ならびにp70 S6K(翻訳関連蛋白)の活性についてwestern immunoblot analysisを用い解析した。脱落膜細胞の走化性を検討するためにscratch assayを行った。 脱落膜細胞においてTRAP-6添加でERK1/2は強いリン酸化を示し、U0126の添加で抑制された。PPACKの添加で抑制される傾向を示した。p70 S6Kのリン酸化は、阻害剤による影響は認めなかった。TRAP-6添加でIL-8、MCP-1ならびにMMP-1のmRNA発現や培養上清中の濃度が上昇し、それらはU0126やPPACKで抑制される傾向を示した。また、TRAP-6添加で脱落膜細胞の走化性が高まることが確認できた。 今回の結果から、子宮内膜は脱落膜化することで各種蛋白の産生を調節し、胞の走化性も高まることが示された。今後は低反応レーザーにより同様の現象がみられるかどうかを検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体も順調に入手でき、仮説通りの実験結果になっているため。
|
今後の研究の推進方策 |
子宮内膜間質細胞に対して低反応レーザーを照射し、細胞内情報伝達系に関連したリン酸化酵素を網羅的解析することにより細胞内で特異的に活性化する酵素を解析する。また、子宮内膜間質細胞の脱落膜化に対してレーザー照射がどのような影響があるかを検討したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度行う予定の実験を次年度に計画したため、購入予定の試薬等の使用額に差が生じた。次年度に購入し実験を行う予定。
|