研究課題/領域番号 |
16K11095
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
西田 正和 大分大学, 医学部, 講師 (90404384)
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研究分担者 |
奈須 家栄 大分大学, 医学部, 教授 (30274757)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 / PI3k-akt系 / semaphorin3B / neuropilin2 |
研究実績の概要 |
昨年度同様、研究計画書に従い、実験を進めており、仮説に近い実験結果を得ている。 子宮内膜症細胞では、正常子宮内膜間質細胞と比較して、semaphorin(SEMA)3Bの発現が増加しており、そのレセプターであるneuropilin(NER)2の発現は減少していた。また、同様に、real time PCRでも検討したところ、mRNAレベルでも(SEMA)3B mRNAの増加、NER2 mRNA発現の減少という結果を得た。さらにin vivoでも検討したところ、子宮内膜症細胞の免疫染色では上述のin vitroと同様の研究結果を得ることができた。 細胞伝達系の検討では、子宮内膜症細胞においてphosphatidylinositol-3 kinase(PI3k)は、子宮内膜症細胞において発現が減少しており、これに伴いリン酸化したaktの発現も同様に減少している。PI3k-akt系の更に下流にあるβカテニン、GSKについても検討を行った。これらの因子は、細胞増殖、アポトーシスに関与するものであるが、GSKについては正常子宮内膜細胞、子宮内膜症胞間で差はほとんど認められなかったが、βカテニンについては、子宮内膜症細胞においてその発現が減弱していた。 今回の結果は、子宮内膜症細胞でSEMA3Bが異常発現することで、PI3k-akt系の細胞伝達経路を介してその異常シグナルが伝達さえることが認められた。子宮内膜症におけるSEMA-NERの経路については、今まで報告がなく、子宮内膜症の病因のひとつとしてこの経路の伝達異常が関与していることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産婦人科医不足により研究に割くべき時間を臨床領域に割かれ、予定している研究がやや遅れている状況である。そのため、3年間を予定していた研究期間を1年延長し4年間に延長して研究を行うことが許可された状況である。
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今後の研究の推進方策 |
上述の理由で研究機関を延長し、今年が最終年として研究を行う予定である。実験結果はほぼ仮説通りに結果がでており、今年度は実験結果の正確性の確認、学会発表はもとより論文作成を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前項でも述べた通り、臨床面での多忙により研究の時間が減少し、計画していた実験が遅れたため次年度使用額が生じました
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