研究実績の概要 |
①早発型妊娠高血圧腎症(preeclampsia: PE)における胎盤絨毛のmicroRNA(miRNA)発現を満期分娩の正常胎盤と比較した。手法は新規のmiRNAアレイパネルを用いて、既知ヒトmiRNAを網羅的に発現解析を実施した。PEで有意に減少するmiRNAはmiR-1-3p, miR-5004-5p, miR-148b-3p. miR-215-5p, miR-660-5p, miR-224-5p, miR-135b-5p, miR-186-5p, miR-98-5p, miR-7855-5p, miR-542-3p, miR379-3pであった。逆にPEで有意に増加するのはmiR-548z, miR-5087, miR-548as-5pであった。 ②WNT研究。絨毛栄養膜細胞の新規浸潤促進因子候補因子であるWNT10Bが、阻害剤や促進剤を用いて、当該細胞の浸潤を制御していることを見いだした。論文化をし、J Matern Fetal Neonatal Med誌にrevision中である。 ③妊娠初期バイオマーカー研究。現在約700人の検体が収集完了している。分娩が完結し、診療録から情報が収集できたのは400人であり、以下の情報を収集した。早発型PE発症患者10人、遅発型PEは18人、早産は56人、28週未満の超早産は2人であった。サンプルサイズを考慮すると、疾患患者は最低15人必要で、さらに1年程度延長して、検体採取を実施すれば、疾患(+) vs. (-)の比較で統計学的にも問題のないものが収集できると考えており、計画からはやや遅れたが、頓挫することなく、着々と進めることができている。本研究で施行した血液中の網羅解析でPE vs.正常で変化のみられたmiRNA発現(qPCR)やプロレニン等の蛋白発現(ELISA)の比較を行う予定である。
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