研究課題
研究代表者は、BMPR2を子宮特異的に欠損するマウス(Bmpr2 cKO)が常位胎盤早期剥離を来すこと、BMP蛋白のBMP4とBMP7 が、妊娠子宮でのBMPR2のリガンド候補であることを明らかにした。全身でBMP4やBMP7を欠損するマウス(Bmp4 KOとBmp7 KO) は胎生致死であることから、子宮特異的にBMP4とBMP7を欠損するマウス(Bmp4 cKOとBmp7 cKO)を作成し、その表現形を解析することで、BMP4とBMP7の常位胎盤早期剥離への、発症メカニズムに関与するのか検討した。さらに、得られた知見を基に、同疾患の革新的な新規治療法を開発することを目指した。Bmp4 cKOは、妊娠初期では、妊娠子宮の重量や着床関連遺伝子(Ptgs3、Areg、Wnt4、Wnt6) の発現で、コントロールマウス(Bmp4 Ctrl)との間に差を認めなかった。しかし、妊娠中期では、妊娠子宮が重量減少を示すこと、妊孕性が極度に低下すること、その要因として妊娠の維持に必要な子宮内膜の脱落膜化が機能不全に陥ることを明らかにした。また、脱落膜化不全の原因として、脱落膜化細胞の分化と増殖が低下していること、脱落膜化組織内の血管新生が障害され血管径が細くなっていること、その原因として血管新生を制御する遺伝子の発現が低下していることを明らかにした。Bmpr2 cKOの妊娠子宮でも同じ異常を認めることから、BMP4が胎盤形成期における、BMPR2のリガントであると考えられた。 これらの知見を基に最終年度は、常位胎盤早期剥離を来した胎盤と、通常の経腟分娩となった胎盤から脱落膜化組織を採取し、それぞれのゲノムDNAとトータルRNAを回収して解析を行った。次世代シークエンサーを用いたゲノムDNAの変異有無、ならびにマイクロアレイを用いたRNAの発現比較を行い、現在、その結果を解析中である。
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