研究課題
生殖医療における体外受精の成功率の伸び悩みは低迷する着床率によるものである。倫理的・物理的研究制限のかかる着床の分野において、生体をmimicしたin vitroの着床アッセイ系を用いることでヒト着床の分子機序の解明に取組んでいるが、着床期における子宮内膜上皮が上皮間充織転換(Epithelio-Mesenchymal transition; EMT)様のふるまいをすることで、運動能を高め胚の陥入に有利な動態を示す可能性を明らかにして来た。本研究では「子宮内膜上皮に加えて間質細胞を含めた子宮内膜細胞群全体のEMT を中心とした相互反応的な細胞動態と、特にそのトリガーを明らかにすること」を目的として解析に取組んだ。子宮内膜上皮細胞と子宮内膜間質細胞の両者のcross-talkによるヒト着床の制御機構を明らかにする目的で、in vitro着床アッセイに子宮内膜の上皮細胞と間質細胞を積層化した3D in vitro 着床アッセイ系を導入し3次元方向での胚モデルの陥入侵入の模様を生化学的に解析を行うことを目指した。温度感受性に接着細胞をシート状に剥離しうる特殊培養dishを用いて積層化技術を確立するための数多くの条件設定を行いトライアルを行ったが、子宮内膜上皮細胞層のシート状剥離およびその後の積層化の再現性は確保できなかった。そのため、積層化の3D in vitro着床アッセイでの解析計画を一時凍結し、boyden chamber を用いた積層化しない共培養系でのin vitro着床アッセイでのサイトカインによる EMT コントロール解析を実施した。その結果、複数種のサイトカインによる子宮内膜上皮あるいは子宮内膜間質の細胞運動機能制御機構が一部示された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Stem Cell Report
巻: 11 ページ: 1136-1155
10.1016/j.stemcr.2018.10.002