研究課題/領域番号 |
16K11112
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
大槻 克文 昭和大学, 医学部, 准教授 (90276527)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | Lactoferrin / ラクトフェリン / 早産 / 腟炎 / 難治性腟炎 |
研究実績の概要 |
ラクトフェリン:Lactoferrin(LF)はヒト乳汁中や好中球に多量に含有される糖蛋白で、人体内に存在するPrebiotics(Natural Antibiotics)の一つである。LFは、抗菌・抗炎症性サイトカイン作用を有するが、Lactobacillusの発育を抑制しない。また、LFはUrinary Trypsin Inhibitor(UTI)とは異なり副作用がほぼ皆無であり安全性が極めて高い。上記の観点に立ち、我々はLFが早産予防に効果的な薬剤となる可能性が高いと考え、現在までに、LFの周産期領域における早産予防薬としての有用性を検討し報告してきた。本研究では今までの実績を踏まえて、特にLF腟錠をヒトに使用し、早産の予防・治療への応用及び予防の可能性、ヒトでの有用性ならびに安全性を検討し、ヒトでの有効性の機序を再確認する。 我々は今までに、LFが周産期領域において早産予防薬としての有用性を有する可能性について、学会及び論文発表を数多く行ってきた。これらの今までの研究結果から、LFの投与が腟炎や頸管炎の治療に有効であり、さらには子宮内感染による脳障害の発生抑制効果を有する可能性が充分に示唆されています。これらをふまえて、今回、LF錠のヒトへの投与を行い、子宮頸管炎ないしは腟炎治療薬、ひいては早産予防薬としての臨床応用の可能性を更に具体的に検討し、その作用機序、有用性および安全性を明らかにすることとした。なお、ヒトへの投与については当該施設の医の倫理委員会の承認を既に得ており、本報告書作成時で11例のヒトへの投与が終了しています。一部は学会発表および学術誌への投稿を行っています。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次第に対象となる患者数が増え、かつ他施設からの研究協力希望が複数件有り、対象患者数を増やすことが可能となってきている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、更に症例を増やしてく際には共同研究または研究協力という形を取っていただくことになります。 今までの基礎的検討~動物実験、ヒトへの試験投与(倫理委員会承認)を踏まえ、今後更に症例を重ねていく予定です。ヒトへのラクトフェリンの有効性は大いに示唆されると確信しておりますが、いずれはdouble blind(二重盲検比較試験)による検討を行いたいと考えています。
|
次年度使用額が生じた理由 |
対象となる症例数を増やすための方策として、他施設への患者紹介依頼、あるいは他施設からの研究協力の申し出の調整を行った結果、実際に必要物品を購入するタイミングが年度をまたぐ形となってしまいました。
|
次年度使用額の使用計画 |
引き続き、研究成果を最大限に出すために、研究費を効果的に使用する予定でおります。ご高配のほどお願い申し上げます。
|