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2017 年度 実施状況報告書

妊娠時インフルエンザウイルス感染重症化に関与する自然免疫リンパ球(ILC)の解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K11115
研究機関日本大学

研究代表者

山崎 元美  日本大学, 医学部, 研究員 (40376794)

研究分担者 山本 樹生  日本大学, 医学部, 客員教授 (40167721)
東 裕福  日本大学, 医学部, 助教 (60772936)
村瀬 隆之  独立行政法人国立病院機構災害医療センター(臨床研究部), その他, その他 (70276723)
千島 史尚  日本大学, 医学部, 准教授 (50277414)
市川 剛  日本大学, 医学部, 助教 (80599994)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードインフルエンザ重症化 / 妊娠
研究実績の概要

2009年にパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスは基礎疾患のある人、乳幼児、妊婦などで重症化が報告されている。幸い本邦では、妊婦の死亡は報告されていないが、海外では死亡や入院率の増加が報告されている。しかし、なぜ重症化を引き起こした のか、そのメカニズムは未だ解明されていない。高齢出産、少子化傾向にある本邦において、インフルエンザウイルス感染による妊娠時の重症化メカニズムの解明は急務である。
本研究では、2009年にパンデミックを引き起こしたH1N1株であるA/Kyoto/KU4/2011を用いて妊娠感染動物モデル作製し、自然免疫系の 一つである自然免疫リンパ球(ILC)に着目し、妊娠中のインフルエンザウイルス感染が母児に及ぼす影響と重症化するメカニズムの解明を目的とする。ウイルスの感染初期には、まず自然免疫系が誘導される。その一つとして、自然免疫リンパ球(ILC)がある。
本年度は、インフルエンザウイルスを非妊娠マウスと妊娠マウスに感染させ、肺組織における自然免疫リンパ球(ILC)におけるサイトカインとサイトカイン産生に関与する転写因子の発現をqPCRで検討し、同時にマイクロアレイ解析を行った。
妊娠中のインフルエンザウイルス感染により、感染防御に重要な働きをするIFN-βが著名に増加していることが分かった。通常の状態(非妊娠時)では、インフルエンザウイルス感染で300倍程度の増加であるが、妊娠中は3000倍程度にまで増加していた。また、生体の恒常性を保つために重要な役割を担っている制御性T細胞などが増加していることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

非妊娠マウスと妊娠マウスの肺組織からRNAを抽出し、自然免疫リンパ球(ILC)から産生されるサイトカインやサイトカイン産生に関与する転写因子の発現をqPCR法で検討した。非妊娠マウスでは、インフルエンザウイルスの感染により、制御性T細胞(Treg)の転写因子であるFoxp3の発現が低下していた。IL-1β、IL-6やIL-17Aは感染により発現が増加していた。一方、妊娠マウスでは、インフルエンザウイルスの感染により、Foxp3の発現が増加しており、Tregの増殖因子の一つであるIL-10の発現も増加していた。IL-6は、非妊娠感染マウスと同様にインフルエンザウイルスの感染に寄り発現増加が認められたが、IL-1βやIL-17Aの発現は感染による変化を認めなかった。また、ウイルス感染時に関与するIFNについて、検討したところIFN-γは、非妊娠マウス・妊娠マウスでインフルエンザウイルスの感染により同程度の増加が認められた。IFN-βも同様に増加を認めたが、非妊娠マウスでは感染により300倍程度の増加であったが、妊娠マウスでは3000倍程度まで増加していた。
このことから、妊娠時のインフルエンザウイルス感染により母体の免疫応答が変化していることが分かった。

今後の研究の推進方策

今までの結果から、肺組織におけるTh1およびTh17のサイトカインや転写因子の発現変動を明らかとした。ウイルス感染時のT細胞および自然免疫リンパ球(ILC)からのサイトカイン産生やサイトカイン産生に関与する転写因子は共通のものがある。
本年度は、細胞レベルでの検討を行うことで、自然免疫リンパ球(ILC)による母体免疫応答の変化を明らかとする。
妊娠マウスにパンデミック株であるH1N1を感染させ、肺組織から細胞分離し、フローサイトメーターを用いて、細胞レベル自然免疫リンパ球(ILC)のサイトカイン産生およびサイトカイン産生に関与する転写因子の解析を行う。
また、マイクロアレイの結果から、インフルエンザウイルス感染重症化に関与する遺伝子の発現を個々の検体を用いて検討する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
肺組織での遺伝子発現を先行して検討したため、細胞分離に使用する試薬およびフローサイトメータで使用する蛍光抗体の購入の控えたため次年度使用額が生じた。
(使用計画)
肺組織からの細胞分離に必要なコラゲナーゼやディスパーゼなどの酵素、比重遠心のためのパーコール、PBS等 と、非妊娠マウスおよび妊娠マウスの購入、飼育代として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Effects of pandemic H1N1 2009 influenza virus infection on maternal and fetal in pregnant mouse2017

    • 著者名/発表者名
      山崎元美、村瀬隆之、山本樹生、森山光彦
    • 学会等名
      日本免疫学会

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公開日: 2018-12-17  

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