研究課題
骨髄由来血管内皮前駆細胞(EPC)移植治療による反復流産予防効果の検討を行った。外的にEPCを移植することで妊娠初期における胎盤の血管形成を促進し、流産を防止するという仮説を立て以下の検討を行った。①末梢血中のEPC数についての検討、②胎盤のreal time PCR比較についての検討、③培養EPCの増殖能と遊走能についての検討、④EPC投与による流産率低下についての検討。結果は、正常妊娠群、流産群のどの群においても循環血中のEPC(CD34陽性細胞)の数に違いを認めなかった。Real time PCRでは、流産群でIGF-2、sFlt-1、VEGF が有意に上昇していた。PlGFは、PCRで両群間で有意な差を認めなかった。sFlt-1処理をした培養EPCでは、有意に増殖能と遊走能が低下していた。反復流産モデルマウスの流産をEPCを投与することで流産を減少させた。EPCの胎盤への取り込みは、正常妊娠群よりも流産群で有意に取り込みが多いという結果であった。流産群における血管周囲径は正常群より有意に小さかった。EPC投与で流産群の血管構造をほぼ正常レベルまで構造を改善した。結論として再発性流産のハイリスク患者自身より培養したEPCを妊娠初期に移植することで、胎盤形成期の新生血管を正常化し、流産を防止する可能性が示唆された。 今後、流産に対するEPC治療の実現のためには、胎盤における血管形成の異常メカニズム及び胎盤に集積したEPCの細胞生物学的役割を探索し、有効性と安全性の確認を行なうことが重要であると考えています。
すべて 2019
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Cell Transplantation
巻: 25(12) ページ: 2187-2197
doi: 10.3727/096368916X692753.