研究課題/領域番号 |
16K11120
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
前原 佳代子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (80421311)
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研究分担者 |
祐實 泰子 畿央大学, 健康科学部, 講師 (80425454)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 反復胞状奇胎 / NLRP7遺伝子 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
産婦人科領域の絨毛性疾患である胞状奇胎の多くは、雄核発生(ゲノム欠損卵子に1精子受精あるいは2精子受精)や正常卵子に2精子受精が原因で発症すると考えられている。一方、父母に由来するゲノムを1セットずつ継承しているにもかかわらず、母親の染色体19番にコードされているNLRP7 (NLR family, pyrin domain containing 7) 遺伝子に変異があると繰り返して胞状奇胎(反復胞状奇胎)を発症することが我々のグループを含めて複数のグループから報告されている。NLRP7遺伝子変異がどのように胞状奇胎の病態を形成するか、そのメカニズムは不明である。本研究の目的は、ゲノム編集CRISPER/Casシステムを利用しNLRP7遺伝子を破壊した反復胞状奇胎の疾患モデルヒト細胞を作成し、NLRP7遺伝子の機能の一端を明らかにすることである。 H29年度には、trophoblast cell lineの HTR-8/SVneoを利用して、CRISPR/Casによるゲノムの改変を行った。標的遺伝子に改変が生じ、改変のパターンから遺伝子破壊ができていると思われる細胞株が2つ得られた。具体的には、ダブルニッキング法を行うためのベクターをエレクトロポレーション法で一時的にHTR-8/SVneoに導入した。細胞株からゲノムDNAを抽出し、それらのゲノムDNAを使用して、サンガー法によるシークエンシング反応および精製を行った。最終的な塩基配列は、学内に機器がないため外部に委託し確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に引き続き、DNA組換え実験やタンパク質の解析など分子生物学的手法に必要な機器等をセットアップしながらの研究の遂行であった。大学内にシークエンサーや解析ツール(ソフト)がないため、遺伝子改変した細胞の塩基配列の確認は外部に委託することで対応した。また、教育、大学運営等に費やす時間が初年度以上に増えてしまい、実験に従事する時間が十分に確保できない状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度には、遺伝子改変された細胞株が疾患モデル細胞として有用であるかの検証を行い、NLRP7が細胞増殖に与える影響について検討する。 定量的PCRやウエスタンブロッティングでNLRP7の発現レベルとタンパク質量の確認を行う。また、NLRP7遺伝子が破壊された細胞を用いて、胞状奇胎に特徴的な絨毛の嚢胞状変化など細胞の形態変化の有無、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の産生増加などを調べて、ゲノム改変を施した細胞が胞状奇胎で報告される特徴を備えているか検討する。 疾患モデル細胞として有用であることが検証できたら、細胞の増殖能、細胞周期を制御する因子やシグナル経路の活性化など、ウエスタンブロッティングや免疫染色等を用いて調べて、NLRP7遺伝子破壊のよる表現型の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の配分額については、初年度に生じた未使用額17万円と当該年度の研究費を合わせて、本研究に必要な備品や消耗品を購入し研究を進めたが、約12万円の未使用額が生じた。分担研究者に配分した研究費では、分担研究者の用務繁多のため、予定していた学会参加を見合わせたこと、また研究時間を確保できず、消耗品等の購入に使用した物品費が少なく、15万円の未使用額が生じた。 最終年度は、次年度使用額を合わせて、助成金を研究遂行のために使用する。細胞培養、核酸やタンパク質の解析に必要な消耗品に使用する。また免疫染色を計画しているが、研究者が所属する大学の蛍光顕微鏡には、低倍率の対物レンズが装着されている。細胞の観察に高倍率・高解像度の対物レンズ(定価約30万円)が必要なため、他の研究費での購入ができない場合には、本研究費での購入を検討する。分担研究者に配分する研究費は本研究遂行に必要な消耗品の購入や情報収集に使用する。
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