研究課題
まず、Western blot法によりEZH2遺伝子のノックアウトとlet-7bの過剰発現によるIL-6/8の発現低下を確認した。IL-6/8の添加による体癌細胞悪性形質の増強を確認した。そしてIL-6/8を標的とするmiRNA群をin silico法で予測し、EZH2により発現抑制されるmiRNA候補と照合することで、EZH2によるlet-7bなど複数のmiRNA発現の抑制が、IL-6/8産生量の増加を導いたことを明らかにした。更にEZH2特異的阻害剤GSK343の処理で、EZH2の不活性化を誘導すると、Twist、Snail、p-STAT3、NF-κB及びβ-cateninの蛋白質発現及びIL-6/8の産生量の低下を認めた。また、STAT3阻害剤BP-1-102、NF-κB阻害剤BAY11-708、Wnt/β-catenin経路抑制剤ICG-00Iの投与により、EZH2は下流に位置するSTAT3経路、NF-κB経路及びWnt/β-catenin経路の活発化を介して、体癌細胞におけるIL-6/8の異常産生また体癌細胞悪性形質の増強を促進することを明らかにした。体癌細胞を使用した解析では、EZH2は癌遺伝子MMSETの発現を上昇させることで、IL-6/8の発現を増加することも解明した。EZH2特異的抑制剤GSK343の添加により、体癌、子宮頸癌及び卵巣癌細胞の増殖能と浸潤能は、濃度依存性に抑制されたことも明らかになった。また、GSK343と5-AZAの組み合わせによる相乗的な癌抑制効果を認めた。両者の併用で相乗的な抗腫瘍効果を発揮することで、新たな婦人科癌治療法として十分に期待できると考えられる。以上の研究によって、EZH2と癌抑制miRNA群が相互に負のフィードバックループを形成して、EZH2の発現亢進及びlet-7bなどのmiRNAの発現低下を招き、下流にあるTwist、Snail、STAT3経路、NF-κB経路及びWnt/β-catenin経路の活発化を介して、IL-6/8過剰産生及び体癌の悪性化を導くという重要な成果が得られている。本研究により得られた知見は、今後体癌の根絶を目指す基層研究の発展及び新しい治療法の開発に大きく貢献していると考えられる。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 9件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Frontiers in Oncology
巻: 8 ページ: 264~268
10.3389/fonc.2018.00264
巻: 8 ページ: 386~396
10.3389/fonc.2018.00386
Frontiers in Genetics
巻: 9 ページ: 471~451
10.3389/fgene.2018.00471
Oncology Letters
巻: 15 ページ: 4432~4438
10.3892/ol.2018.7834
Cancer Science
巻: 109 ページ: 2003~2012
10.1111/cas.13608
Oncotarget
巻: 9 ページ: 23253~23263
10.18632/oncotarget.25298
Oncogene
巻: 37 ページ: 5257~5268
10.1038/s41388-018-0347-4
Journal of Experimental & Clinical Cancer Research
巻: 37 ページ: 235~240
10.1186/s13046-018-0906-0
Journal of Cancer
巻: 9 ページ: 4578~4585
10.7150/jca.28040