研究課題/領域番号 |
16K11132
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
加嶋 克則 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (50345500)
|
研究分担者 |
吉原 弘祐 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40547535)
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90283754)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 子宮内膜症 / 卵巣類内膜腺癌 |
研究実績の概要 |
凍結保存されている子宮内膜症関連卵巣類内膜腺癌症例を以下の方法で順次、解析している。正常子宮内膜、子宮内膜症、異型内膜症、内膜症―癌移行部、卵巣癌組織をレーザーマイクロダイセクション法によりサンプリング後、微量DNA・RNA抽出用キットを用いてDNA・RNAを抽出し、Quality checkを行う。SureSelect Human All Exon V6を用いてExon濃縮を行い、ライブラリー作成後Illumina HiSeq2500シークエンスを行う。得られたFastqファイルからエクソームシークエンスデータパイプラインを用いて体細胞性変異を抽出し、各体細胞性変異に対してANNOVAR algorithmを用いて機能的注釈付けを行う。体細胞性変異リストから、MutSig algorithmを利用することによって、各サンプルに特異的な変異を同定する。次にExomeCNV algorithmを用いて、エクソームシークエンスデータからコピー数変化を推定する。コピー数変化の検証には、Genome-Wide Human SNP array 6.0データを用いる。さらにエクソームシークエンスデータからTHeTA algorithmを用いてサンプルの純度、DNA倍数性、ゲノム不均一性を推定し、レーザーマイクロダイセクション法によるサンプル選択の信頼性及びデータ品質を確認する。また、TruSeq RNAサンプル調整キットを用い、ライブラリー作成後、Illumina HiSeq 2500でペアエンドRNAシークエンスを行う。得られたFastqファイルからPipeline for RNA sequence Data Analysisを用いてQuality Check を行うと同時に、遺伝子発現データおよびlong non-coding RNA発現データを取得している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子宮内膜症関連卵巣類内膜腺癌症例の正常子宮内膜、子宮内膜症、異型内膜症、内膜症―癌移行部、卵巣癌組織をレーザーマイクロダイセクションでサンプリング後、DNA及びRNAを抽出し、全エクソンシークエンス・RNAシークエンスを行い、ゲノムおよびトランスクリプトームデータを取得しているが、まだ、目標数の50症例に達していない。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、全エクソンシークエンス・RNAシークエンスを行い、ゲノム及びトランスクリプトームデータを取得する。同一症例内の正常子宮内膜、子宮内膜症、卵巣類内膜腺癌の全エクソンシークエンスデータより遺伝子変異及びコピー数変化プロファイルを作成し、比較検討することによって、各組織での分子生物学的共通性/相違性を同定する。また、RNAシークエンスデータより網羅的遺伝子発現プロファイルを作成し、クラスター解析法を用いて正常子宮内膜、子宮内膜症、卵巣類内膜腺癌の遺伝子発現プロファイルの類似性を明らかにする。各データより得られる体細胞性変異、コピー数変化、遺伝子発現及びnon-coding RNA発現プロファイルを統合して、子宮内膜症から卵巣類内膜腺癌への進展メカニズムを解明する。さらに同定されたゲノム異常を卵巣癌細胞株へ導入し、表現型の変化を確認後、RNA干渉によるノックダウン実験によりその治療標的としての可能性を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会発表を延期したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
引き続き、子宮内膜症関連卵巣類内膜腺癌症例の正常子宮内膜、子宮内膜症、異型内膜症、内膜症―癌移行部、卵巣癌組織をレーザーマイクロダイセクション法でサンプリング後、DNA及びRNAを抽出し、全エクソンシークエンスおよびRNAシークエンスを行い、ゲノム及びトランスクリプトームデータの取得を予定している。このため、消耗品費として、サンプル調製キット、クラスター形成キット、シークエンスキット等の物品の購入を予定している。また、学会発表用の費用も予定している。
|