研究課題/領域番号 |
16K11139
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 敏啓 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (90584524)
|
研究分担者 |
松崎 慎哉 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (00467565)
上田 豊 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10346215)
高田 友美 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30437420) [辞退]
小林 栄仁 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50614773)
吉野 潔 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90362730)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 子宮頸癌 / 子宮頚部異型上皮 / HVJ-E apoptosis / 免疫賦活 |
研究実績の概要 |
不活化センダイウイルス(HVJ-E)はその抗腫瘍効果や、抗腫瘍免疫賦活により、癌に対する新しい治療法として注目され、前立腺がんやメラノーマでは臨床試験が進められている。子宮頸癌や子宮頸部異型上皮に対しても同様の効果が期待される。子宮頸癌、子宮頸部異型上皮に対する非侵襲的な新しい治療法として用いることが可能かどうかを検討することを目的とし研究を進めた。 (1)子宮頸癌に対するHVJ-Eのin Vitroでの抗腫瘍効果の検討とその分子メカニズムの解明 これまでの前立腺癌やメラノーマでの報告では、HVJ-Eの抗腫瘍効果には2つの系によるものが報告されている。[1] HVJ-Eにより選択的な細胞死(アポトーシス)を誘導する効果[2] NK細胞やeffector T cellの抗腫瘍効果を高めることによる直接的な抗腫瘍効果。子宮頸癌についてもこの2つの系についてそれぞれの効果を確認する。 (2)子宮頸部異型上皮の三次元培養の確立と抗腫瘍効果の検討 同意の上得られた子宮頚部異型上皮の臨床検体より三次元培養細胞塊を作成する。得られた臨床検体を細切し、collagenaseやdispaseなどを用いて細胞を分離する。分離した細胞をcollagenやその他様々な足場の上で培養する。培養には無血清培地を用いる。そこに様々なgrowth factorを添加し、培養に必要な条件を設定する。こうして得られた子宮頚部異型上皮の三次元培養が組織学的に異型上皮であることを確認し、どの程度の期間維持できるかについて検討する予定である。培養の条件設定を決定した後、臨床検体を増やし、CIN1-3すべてに関して培養細胞塊を準備する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1)子宮頸癌に対するHVJ-Eのin Vitroでの抗腫瘍効果の検討とその分子メカニズムの解明 上記については細胞株を用いてHVJ-Eの子宮頸がんに対する抗腫瘍効果をMTS assayにて2次元培養での検討を行った。7種の細胞株に対して検討し、3種類の細胞株に対して抗腫瘍効果を認めたが、その効果がHVJ-Eの投与量・暴露時間によりばらつきがあり、条件を調整しながら検討を重ねている。 (2)子宮頸部異型上皮の三次元培養の確立と抗腫瘍効果の検討 上記に対して子宮頚部異型上皮細胞の三次元培養の確立を試みているが、病変が微細で十分量の採取が困難であり、条件設定を繰り返し検討している段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
子宮頸癌に対するHVJ-Eのin Vitroでの抗腫瘍効果の検討とその分子メカニズムの解明については検討の反復により適切な条件を設定することは可能であると考えている。続けてマウスを用いた検討を進める予定のためそれらの準備を並行して進める予定である。子宮頚部異型上皮の三次元培養の確立に関しては病変が小さい症例については採取が困難なため、検体採取の段階での選択の検討を要すると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は当初予定では子宮頸癌に対するHVJ-Eの抗腫瘍効果のメカニズムの解析も行う予定であったが、抗腫瘍効果がHVJ-Eの投与量・暴露時間等にてばらつきがあったために、深い解析ができなかった。このため、そのメカニズム解析に計上していた試薬等の購入を延期した。また、子宮頸部異型上皮の三次元培養を用いた抗腫瘍効果の検討も、同様の理由で進められておらず、計上していた試薬等の購入を延期した。
|
次年度使用額の使用計画 |
引き続き実験に必要な物品の購入を行う。
|