研究実績の概要 |
1) 周閉経期女性158例を規則月経群,不規則月経群,閉経後群に分類して脂質・糖代謝パラメーターを測定した。不規則月経群ではDHEA-Sは有意に高値,cortisol/DHEA-S比は有意に低値であった。cortisolは, 不規則月経群ではTC,TG,LDL-Cと正の相関傾向、HDL-Cと負の相関傾向を認め、cortisol/DHEA-S比はTGと有意な正の相関を認めた。 2) 周閉経期のFSHの変化には3つのパターンがあり,人種やBMIが関係する。しかし、日本人女性において、周閉経期を細分化してFSHとBMIとの関係を検討したものはない。そこで、本邦における周閉経期のFSHのばらつきと,周閉経期の各期におけるFSHとBMIの関連を検討した。周閉経期女性815例をMT,EPM, LPMの3群に分類して検討すると、LPM以降にもFSHのばらつきを認めた。FSHにより3分位でみると、MTではE2が低いほどFSHが高く,EPMではBMIが低いほど,年齢が低いほどFSHが高く,LPMでは年齢が低いほどFSHが高かった. 3) 周閉経期にみられるDHEASの増加によってアンドロステンジオール(ASDiol)濃度は増加し、エストロゲン様作用を有する可能性がある。そこで、周閉経期におけるASDiolの変化を他の男性ホルモンとともに検討し、代謝との関係を検討した。周閉経期女性63例を月経状態とFSHによって6群に分類し、ASDiol、ホルモン、脂質・糖代謝を測定した。ASDiolはLC-MS/MS法で測定した。ASDiolは、男性ホルモンと有意な正の相関を示し、コルチゾールと有意な正の相関を示した(p<0.001, r=0.430)。ASDiolはHDL-Cと負の相関傾向、肝機能と有意な負の相関を示した。
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