研究課題/領域番号 |
16K11145
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田代 浩徳 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70304996)
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研究分担者 |
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90224451)
齋藤 文誉 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20555742)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 子宮内膜癌 / POLE変異 / リンパ球浸潤 / エストロゲン / エストロゲン代謝産物 |
研究実績の概要 |
POLE変異を検索する対象として、2010年から2012年まで、当施設において子宮内膜癌の加療を行った141名を検討した。DNA抽出可能と判断された100名のパラフィンブロックに保存された腫瘍組織からDNAを抽出した。そのうち91例がDNAの解析が可能であった。POLE変異が多く報告されているexon9から14までの6つのプライマーを用いて、それぞれのシークエンス解析を行った。91例中、77例の解析が終了した。77例中5例(6.4%)に変異がみられた。このうち、漿液性癌を除いた類内膜癌71例中、変異群5例と非変異群66例の臨床背景を比較した。変異群はやせてインスリン抵抗性が低い傾向にあったが、統計学的有意差は認めなかった。変異群5例の免疫組織化学的検討において、エストロゲン受容体が4例で陽性であった。5例の類内膜癌の中で、2例がG3であった。通常G3ではホルモン受容体陰性が多いが、本2症例はどちらも陽性であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
パラフィンブロックに保存された腫瘍組織から、質の高いDNAの抽出、その後プライマーの選択に時間を要した。さらに、シークエンス解析においても解析ソフトを選択し導入したため、時間を要した。しかし、このような手順を経て、精度の高いシークエンスが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、子宮内膜癌症例のPOLE変異の解析をさらに進める。子宮内膜癌とPOLE変異に関する検討は多いが、子宮内膜癌の前癌病変である子宮内膜異型増殖症に関する報告は少ない。今後、子宮内膜異型増殖症症例とPOLE変異の解析も行う予定である。子宮内膜癌のみならず、子宮内膜異型増殖症を含めたPOLE変異群の臨床的特徴の解析とエストロゲンとの関連を検討する。また、エストロゲン受容体やプロゲステロン受容体などのホルモン受容体ならびにPTEN、BAF250a、CTNNB1の蛋白発現を調べ、POLEによる変異の中で子宮内膜癌発癌の鍵となる分子を明らかにする。 基礎研究として、POLE/POLD1遺伝子をそれぞれCRISPR-Cas9を用いてknockoutしたヒト正常不死化子宮内膜細胞株にカテコールエストロゲンを添加し、非添加群と比較し、軟寒天培地を用いた足場非依存性増殖能を検討する。足場非依存性増殖能を獲得した細胞を用いて、スキッドマウスに移植を行い、造腫瘍能の獲得頻度を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
パラフィンブロックに保存された腫瘍組織から、質の高いDNAの抽出、その後プライマーの選択に時間を要したため、予定していた実験計画に遅れが生じた。さらに、シークエンス解析においても解析ソフトを選択し導入したため、時間を要した。次年度は当初予定していた計画に加え、精度の高いシークエンス解析なども行う。
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