研究実績の概要 |
2010年から2012年に当施設において加療した子宮内膜癌患者を後方視的に検討した。対象患者のパラフィンブロックから子宮内膜癌のDNAを抽出した。POLE遺伝子の6つのプライマー(エクソン9, 10, 11, 12, 13, 14)を用いて、サンガーシークエンス法にて遺伝子変異を解析した。POLE変異子宮内膜癌に対して、ER-α抗体、PgR抗体、PTEN抗体、p53抗体、ミスマッチ修復蛋白(MLH-1, MSH-6, MSH-2, and PMS-2)抗体を用いて、免疫組織化学染色を行った。レーザーマイクロダイセクションを用いて、組織中の異なる病変に対して、POLE遺伝子変異の有無を解析した。 対象期間における94名の子宮内膜癌患者のうち、5名(5.3%)にPOLE遺伝子変異が同定された。組織学的に類内膜癌G2が2名、類内膜癌G3が3名であった。変異部位は、すでに報告されているS459Fが2名に認められ、初めての報告となるP442Pが3名に認められた。組織学的に、5名全てに癌組織とともに正常子宮内膜あるいは子宮内膜異型増殖症(AEH)が認められた。全ての抗体の免疫組織化学的染色において、癌とAEHは同様の発現を呈した。5名全てにおいて、ER-αとPgRは陽性であった。PTENは2名で陰性、p53は3名で陽性であった。ミスマッチ修復蛋白は3名で陰性であった。AEHと癌の両者において、同じPOLE遺伝子変異が同定された。 正常子宮内膜腺から樹立した不死化細胞株を用いて、CRISPR-Cas9を用いてPOLE遺伝子のノックアウトを行った。本細胞株を用いた解析は引き続き継続し、成果を報告する。
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