研究課題/領域番号 |
16K11146
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
郷久 晴朗 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10721459)
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研究分担者 |
小島 隆 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30260764)
斉藤 豪 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90145566)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 子宮内膜癌 / LSR / 悪性化 / Hippo pathway / YAP / AMOT/Merlin / TEAD1/AREG |
研究実績の概要 |
3細胞間局在ASPP2/LSR/AMOT/Merlin/YAP蛋白複合体の細胞集団安定化における役割の解明 1. 3細胞間タイト結合蛋白LSRが、増殖因子AREGおよび転写因子TEADを介して、子宮内膜癌細胞の遊走、浸潤、増殖に関与していた。子宮内膜癌および正常子宮内膜上皮細胞においてLSRと肥満との関係を調べ、leptinによるLSRの低下、adiponectinによる亢進が認められた。 2. LSR低下によるAREG/TEADの亢進は、Hippo pathwayの関与が考えられたためその主要分子であるYAPに焦点を当て検討した。免疫染色においては、子宮内膜癌の悪性度とともにAREGの亢進およびYAPの核内移行がみられた。子宮内膜癌株SawanoにおいてsiRNAによるLSRの発現低下により誘導されたAREGおよびTEADの増加、癌細胞の遊走・浸潤・増殖の亢進は、siRNAによるYAPの発現低下によって抑制された。次にYAPのリン酸化を亢進させる合成カテコールアミンの一種であるdobutamine処置およびglucose欠乏状態によってもLSRの癌細胞への作用は抑制された。さらにYAP分子との結合がみられ癌抑制作用をもつタイト結合様分子群angiomomtin(AMOT)/merlin (NF2)との関係も検討した。子宮内膜癌株において、LSRは免疫沈降法および免疫染色によりYAPおよびAMOT/merlinとの結合が確認された。LSRの発現低下によりAMOT/merlinの発現低下がみられた。siRNAによるAMOTの発現低下により癌細胞の遊走・浸潤は亢進したが、LSRの発現低下による誘導された癌細胞の遊走・浸潤は抑制した。以上よりLSR発現低下は子宮内膜癌の悪性化に直接および間接的にHippo pathway(YAP/AMOT/merin)を介して関与することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に実施する実験においては、ほぼ終了し有意義な結果を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策 1.子宮内膜癌において、siRNAによりLSRの発現低下による他の遺伝子変化をDNAアレーを用いて検索する。変化のみられた遺伝子については、PCRで確認後、その機能を解析する。 2.子宮内膜癌において亢進しているヒストン脱アセチル化酵素に焦点を当て、その阻害剤によるLSRの発現・局在の変化を解析する。 3.上皮細胞極性分子であるPar3およびPar3を調節している3細胞間発現分子ASPP2(apoptosis stimulating proteins of p53-2)の子宮内膜癌の悪性度における変化を詳細に調べる。さらにPAR3およびASPP2の発現調節機構についても解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度からはじめる正常子宮内膜上皮細胞でDNAおよびmicroRNAアレーを複数行う予定(1件約30万)
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次年度使用額の使用計画 |
1.子宮内膜癌において、siRNAによりLSRの発現低下による他の遺伝子変化をDNAアレーを用いて検索する(1件約30万)。変化のみられた遺伝子については、PCRで確認後、その機能を解析する。2.子宮内膜癌において亢進しているヒストン脱アセチル化酵素に焦点を当て、その阻害剤によるLSRの発現・局在の変化を解析する。3.上皮細胞極性分子であるPar3およびPar3を調節している3細胞間発現分子ASPP2(apoptosis stimulating proteins of p53-2)の子宮内膜癌の悪性度における変化を詳細に調べる。さらにPAR3およびASPP2の発現調節機構についても解析する。 以上の結果を英文雑誌に報告する。
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