研究実績の概要 |
3細胞間局在ASPP2/LSR/AMOT/Merlin/YAP蛋白複合体の正常および癌細胞の役割を解明し、癌治療の新しいアプローチ法をみつける。 1. ASPP2は子宮内膜癌組織において、悪性度とともにLSR, PAR3同様に発現低下がみられた。2. 子宮内膜癌細胞株においてLSR、TricellulinおよびPAR3と共局在がみられた。さらに細胞密度により局在変化し高密度において3細胞間に発現がみられた。3. 内膜癌細胞株を用いてASPP2をsiRNAにより発現低下させた結果、LSRの発現低下、claudin-1, 4, 7の発現亢進がみられた。さらにLSRの発現低下細胞同様に、癌細胞の遊走・浸潤の亢進もみられた。YAPのリン酸化亢進もみられた。さらにASPP2およびYAPのsiRNA同時処置により癌細胞の遊走・浸潤の亢進は抑制された。6. ASPP2特異的抗体を作製し、内膜癌細胞株に処置した結果、claudin-1, 4, 7の発現亢進およびYAPのリン酸化亢進がみられた。さらにYAP依存性の癌細胞の遊走・浸潤が亢進した。7. ASPP2の発現低下およびASPP2抗体処置により3細胞間F-actinの変化がみられた。8. 内膜癌細胞株を用いて高濃度グルコース培地、LeptinおよびAdiponectin処置、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(TSA,HDAC1およびHDAC6特異的阻害剤)によりASPP2の発現および局在が変化した。9. 手術からの正常培養ヒト子宮内膜上皮細胞を用いて、ASPP2はLSRと同様の発現および局在がみられ、ASPP2の発現低下により、LSR同様claudin1, 4の発現亢進がみられた。 以上の結果は、ASPP2は、2細胞間だけでなく3細胞間においてもASPP2/LSR/YAP蛋白複合体を形成し、子宮内膜癌の悪性化を抑制していると考えられた。
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