研究課題
前年度、CRISPR-Cas9を用いてfibulin-5ノックアウトマウスを作成、メスのホモ接合体マウスを野生型マウスと交配させた。メスは分娩後直腸脱を呈したが、交配後のノックアウトマウスは死亡した。そこで、表現型(直腸脱)を確認したメスのホモ接合体マウスのfibulin-5のDNA配列(94bp欠損)をCRISPR-Cas9システムを用いてノックインしたマウスを作成することとした。野生型(C57BL/6)マウスをPMSG-hCG処理にて過排卵させた後交配し、マウス胚を得た。前述のfiblin-5遺伝子(94bp欠損)のDNA配列を目的配列としてドナーベクターを作成し、CRISPRベクターとともに得られたマウス胚にマイクロインジェクションした。このマウス胚を偽妊娠マウスの子宮に移植、帝王切開にて20匹のマウスを得た。得られたマウスのDNA配列をシークエンス解析したところ、40%のマウスに標的配列のノックインを確認した。このうちホモ接合体ノックインマウスをオス2匹、メス2匹をそれぞれ野生型マウスと自然交配させた。メスのノックインマウスは妊娠、出産に至り、分娩後に子宮脱及び直腸脱を認めた。その後、複数回出産したが、母マウスの食殺などにより仔マウスを得ることができなかった。また、オスのホモ接合体ノックインマウスは自然交配に至らなかった。そのため、人工授精での分娩を試みた。前述のオスのノックアウトマウスより精子を採取し、PMSG-hCG処理にて過排卵させた野生型マウスを解剖し輸卵管より未受精卵を採取、これらを人工授精した。余った精子は凍結保存した。得られた受精卵を偽妊娠マウスの子宮へ移植し、帝王切開により37匹の児を得た。このうち12匹がヘテロ接合体マウスであった。得られたヘテロマウス同士の自然交配により、児を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通りノックアウトマウスの作成に成功し、遺伝子解析の段階となっている。
得られたマウスの遺伝子型を解析し、メスのホモ接合体マウスを用いて幹細胞による治療法の検討を計画通り行う予定である。使用する間葉系幹細胞は、骨髄由来マウス間葉系幹細胞を購入し使用する予定である。
ノックアウトマウスの維持と解析に物品費が必要となった
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Anticancer Research
巻: 37 ページ: 2861-2866
10.21873/anticanres.11638
Neurourology and Urodynamics
巻: 36 ページ: 507-513
10.1002/nau.22916