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2017 年度 実施状況報告書

受容体を覆う「バンドエイド型」次世代ペプチド薬を用いた卵巣がん治療

研究課題

研究課題/領域番号 16K11148
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

吉田 昭三  奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40347555)

研究分担者 山田 有紀  奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20588537)
小林 浩  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
栗田 典之  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40283501)
長安 実加  奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80623496)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード卵巣がん / uPA / 阻害剤
研究実績の概要

独自に開発した高精度分子シミュレーション手法を用い、ウロキナーゼとウロキナーゼ受容体複合体の水中での安定構造を決定し、そ れらの間の特異的相互作用を電子レベルで初めて解析した。その結果、ウロキナーゼ中の4個のアミノ酸(Lys23, Phe25, Lys46, Lys9 8)がウロキナーゼ受容体との結合に重要であることを明らかにした。ウロキナーゼ受容体の鍵穴に入り込まずに表面を覆う「 バンドエイド型」ペプチドを今まで複数試作し、最小単位として[Gly-Lys-(Gly)n-Lys-Gly]構造を有するペプチド合成に成功している 。今回はn=5,6,7,8,9,10とした時の結合強度をシミュレーションで検討した結果、n=5が最適であった。このペプチドAを使用して昨年度はFITC-uPAを用いたuPA-uPARの結合阻害実験、ボイデンチャンバーアッセイを用いた浸潤能抑制試験を行った。本年は浸潤能抑制の効果を時間経過で判断するために、Incucyte zoomを用いた浸潤能抑制試験を行った。また増殖能についても評価を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

卵巣癌細胞株SKOV3とTOV21を用いた。uPARを阻害しないペプチドBをコントロールとして作成した。SKOV3とTOV21にuPA10nM、uPA10nM+ペプチドA、uPA10nM+ペプチドBを加え、incucyteで浸潤能を比較した。また、SKOV3とTOV21にペプチドA、ペプチドB投与による細胞増殖能の影響をMTT assayで比較、検討した。時間経過で比較しても、SKOV3とTOV21共にペプチドA投与によって浸潤能が有意に低下した。ペプチドB投与では浸潤能に有意差はなかった。またペプチドAおよびペプチドB投与による細胞増殖能に有意差はみられなかった。In vitroにおいて、ペプチドAは増殖能に影響は与えないが、浸潤能を抑制することが分かった。この浸潤能の抑制には、ERK回路が関与していると我々は考えている。次年度はMMP9の活性についても評価を行う。

今後の研究の推進方策

uPAはERKシグナル経路を介して癌細胞の浸潤に関わるとされており、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)を含む シグナル伝達にどのような作用を及ぼすか、in vitroで検証する。
また、今後はコンピュータシミュレーションによるdry labから培養細胞を用いたwet labへの展開を考えている。ヒト卵巣明細胞癌 KOC-7c、TOV-21Gをヌードマウス皮下、腹腔内及び卵巣への同所移植し、増殖と転移の状態を調べる。次世代低分子ペプチド薬および コントロールペプチド薬を皮下注射、腹腔内投与および経口摂取させ、これらの状態が制御されるかを検討する。ペプチド薬単独での 検証結果を踏まえて、卵巣癌化学療法のキードラッグであるシスプラチンとペプチド薬の併用により、癌抑制効果が増強するかを検討 する。
次に、第2世代ペプチドの毒性試験を実施するため、採血及び組織学的検査を行い、血液毒性や組織学的毒性を評価する。新規ペプ チドの薬理学的安全性試験のために、毒性基礎試験等の関連初期安全性試験を実施し、その薬効・安全性・薬物動態・物性を総合的に 評価する予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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