• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

子宮体部病変に対する極細複合型光ファイバー内視鏡診断と治療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 16K11149
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

重富 洋志  奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20433336)

研究分担者 小林 浩  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
川口 龍二  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50382289)
岡 潔  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 量子生命科学研究部, 上席研究員(定常) (80354661)
関 健史  秋田大学, 理工学研究科, 講師 (80565317)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード子宮体癌 / ファイバー内視鏡 / レーザー照射
研究実績の概要

子宮体癌は、欧米では最も頻度の高い婦人科悪性腫瘍であり、日本においてもここ10年で発生数は2倍に増加している。基本治療は手術であり、早期癌においても子宮摘出術+両側附属器切除術が施行される。近年、少子高齢化ならびに結婚年齢の晩婚化により、挙児希望時に子宮体部初期癌に罹患する患者が増加している。子宮体部初期癌での妊孕能温存希望例にはホルモン治療も考慮されるが、その約半数は再発し子宮を摘出せざるを得ないのが現状である。今後、子宮体癌の増加や晩婚化にともない子宮体癌罹患女性の妊孕性消失が社会問題となりつつある。初期癌を発見するためには無症状のものに検診を行う必要があるが、子宮内膜細胞診のみでの体癌検出率は高くなく、超音波検査による内膜肥厚所見も併用されるが偽陰性が多いのが現況である。そのため子宮内膜を直接観察し診断、治療する機器の開発は喫緊の課題である。日本原子力研究開発機構により開発された極細(直径1.1mmあるいは0.8mm)の内視鏡(極細複合型光ファイバー内視鏡)は、子宮体部細胞診に使用する外径約2 mmのソフトサイトに挿入して子宮内膜を無麻酔、無痛で観察することができる。このファイバーにより外来にての子宮内観察が可能となる。また、複合型であり観察と同時にレーザー照射ができ、病変の焼灼治療も可能である。この極細複合型光ファイバー内視鏡の照射強度、範囲、画像感度を詳細に検討して、子宮体癌における新しい診断・治療戦略の構築を目指している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

複合型光ファイバースコープを用い、摘出された子宮に対するファイバーの挿入・観察・レーザー照射試験を行った。スコープ映像は、子宮底部から卵管開口部、子宮頚管内の画像も鮮明で、腫瘍性病変についても確認できた。またレーザー照射では子宮内膜を焼灼することが可能であった。子宮内膜を直接観察する方法として現在、子宮鏡が用いられている。しかし、子宮腔内は狭く内膜の出血をきたしやすいため、子宮鏡は消化管の内視鏡ほど観察しやすくなく、あまり有用とはいえない。子宮体癌の1次検査(細胞診)、2次検査(組織診)ともに検体の採取に盲目的な操作が必要で、直視下の検査が可能な子宮頸癌と比べて検診の有効性が低い原因となっている。早期発見と直視下の治療を可能とする新しいシステムの開発は喫緊の課題である。現時点で14症例の子宮内観察とレーザー焼灼実験を行った。基礎実験と同様に子宮内画像は鮮明で腫瘍、ポリープなどの病変についても確認できた。またレーザー照射は、範囲はまだ小さいものの直視下に焼灼可能であった。

今後の研究の推進方策

摘出した子宮を用い生体外でレーザーの照射条件と組織の破壊・壊死の程度についての検討を行ない、生体内で安全に使用することのできる条件を設定する。子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮脱、初期子宮体がんのために摘出された子宮を37度の生理食塩水で満たした恒温槽につけて固定する。37度の生理食塩水で子宮腔内を還流しながら同時に低侵襲レーザー治療システム内視鏡を挿入する。観察する項目は、子宮腔内の広がり、子宮腔内病変(位置,形状,数,色調,推定診断)、奇形、異物の有無である。子宮鏡検査・MRI検査・手術検体と、取得できた画像を比較する。基礎実験では子宮底部から卵管開口部、子宮頚管内の画像も鮮明で、腫瘍性病変についても確認できている。色調も含めて詳細な設定を行い子宮鏡と遜色のない画像取得を目指す。摘出した子宮の内膜から5 mmの距離で一定の条件でレーザーを照射する。レーザー照射時間は、2秒、5秒、10秒で5、10、20ワットの出力を組み合わせる。鶏肉を用いた基礎実験により5秒、10ワットで5 mmの深さまで焼灼することができた。さらに焼灼した部分の組織切片を作成し、その範囲・深達度を病理学的に確認し、子宮腔内の病変を安全に破壊、壊死できる方法と至適条件について検討する。

次年度使用額が生じた理由

我々と共同研究している国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の岡潔は、株式会社OKファイバーテクノロジー(量子科学技術研究開発機構認定ベンチャー企業)を設立し低侵襲レーザー治療システムを開発している。本研究ではこのシステムを使用して研究を行っている。株式会社OKファイバーテクノロジーは、これを既存のiPhone、iPadを用いることにより小型化に成功した。従来の機器は、ディスプレイなどからなるが、大きく移動しにくい。実際の臨床への応用は困難であった。本装置は既存のiPhone、iPadを用いることにより小型化に成功した。この装置により臨床への応用がすすむと考えられる。

次年度使用額の使用計画

新装置で行った場合は、臨床応用へ直接つながるため、今後はこの装置をリースし、画像取得研究を行う。そのためiPhone購入とイメージコンバータのリース代に使用する

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 複合型光ファイバスコープを適用した「子宮用低侵襲レーザー内視鏡システム」の開発2016

    • 著者名/発表者名
      重富洋志
    • 学会等名
      第29回日本レーザー医学会関西地方会
    • 発表場所
      奈良県文化会館
    • 年月日
      2016-07-09

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi