研究課題
従来子宮体部腫瘍の診断には、子宮鏡が用いられてきた。しかし、子宮鏡は挿入による出血による視野不良や患者の疼痛などの問題点がある。本研究で使用している極細複合型ファイバは、0.8mmという細径の内視鏡にレーザー装置を組み合わせた装置である。このファイバは細径であることから患者への侵襲なく、子宮体部が鮮明な画像にて観察することが可能であり、子宮体部病変の早期発見や、診断率の向上に寄与すると考えられる。極細複合型ファイバを用いたレーザー治療装置を用いて、レーザー照射の強度や範囲を検討し、臨床応用可能か検討を行い、また生体にて細径ファイバを用いて子宮内腔の観察が可能かどうかを検討を行った。摘出された子宮を用いて、子宮内腔の観察およびレーザー照射を行った。摘出子宮の内腔の観察では子宮内膜ポリープや子宮体癌などが鮮明な画像で観察できた。子宮内膜にレーザー照射を、照射時間を5秒、出力は10ワットで行った。焼灼範囲はやや狭いが、直視下に狙った部位に照射を行うことができた。また2015年1月から2018年12月までに子宮鏡検査が必要な患者を対象とし、極細複合型ファイバを用いて、生体においても子宮内腔の観察が可能か検討を行った。症例は21例であり、いずれの症例も極細複合型ファイバの挿入・観察は問題なく可能であり、挿入による合併症などは認めなかった。映像は子宮内膜の色調、異常血管の有無、両側卵管開口部などを明瞭に描出でき、既存の子宮鏡と遜色ない観察が可能であった。生体においても複合型細径ファイバによる子宮内腔が観察可能であることが確認できた。生体における有用性を示すことができ、極細複合型ファイバの臨床応用へとつながる結果となった。それにより、既存の検査である子宮鏡より低侵襲にて子宮内腔の観察が行えるようになる可能性がある。
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日本レーザー医学会誌
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