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2016 年度 実施状況報告書

卵巣明細胞癌に対するKANK1を標的とした新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K11151
研究機関岩手医科大学

研究代表者

板持 広明  岩手医科大学, 医学部, 教授 (20314601)

研究分担者 小見 英夫  岩手医科大学, 医学部, 助教 (20382608)
利部 正裕  岩手医科大学, 医学部, 講師 (30382609)
佐藤 誠也  岩手医科大学, 医学部, 助教 (30621007)
杉山 徹  岩手医科大学, 医学部, 教授 (40162903)
竹内 聡  岩手医科大学, 医学部, 准教授 (60252772)
小島 淳美  岩手医科大学, 医学部, 講師 (60508753)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード卵巣癌 / 明細胞癌 / KANK1 / Aurora kinase A / バイオマーカー
研究実績の概要

卵巣明細胞癌55例から得られた組織検体を用いた。KANK1の遺伝子異常を検討したものの、異常がみられたものはごく少数例にとどまった。KANK1はbeta-cateninと複合体を形成することで、核内でのbeta-cateninの局在を調整しその機能を制御している。そこでbeta-cateninによる制御が示唆されているAurora kinase A(Aurora-A)に着目した。腫瘍組織中のAurora-A蛋白発現は96%の症例でみられ、75%では中等度以上の発現が観察された。一方、Ki-67陽性細胞率(LI)の中央値は12.5%(0.2-53.8%)であった。また、Aurora-A蛋白発現染色強度とKi-67 LIとの間に関連はみられなかった。単変量解析では、Aurora-A蛋白の中および高発現群では、陰性または弱発現群に比して予後不良の傾向がみられた。特に、FIGO進行期IC3-IV期例の累積5年生存率は、Aurora-A蛋白の中および高発現群では21%であり、陰性または弱発現群の77%に比して有意に低かった。多変量解析の結果、Aurora-A蛋白染色強度は残存腫瘍径とともに独立予後因子であった。基礎的検討では、卵巣明細胞癌由来細胞株6株全てでAurora-A蛋白発現を認めた。明細胞癌株6株のAurora-A阻害剤(ENMD-2076)に対する50%阻害濃度は1.1-2.8 micro mol/Lであった。ENMD-2076添加により、G2/M期細胞比率の増加が観察されるとともに、アポトーシスが観察された。以上の成績から、難治性卵巣癌の一つである明細胞癌においてAurora-Aは重要なバイオマーカーであり、Aurora-Aを標的とした新規治療戦略による予後改善が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

臨床的検討から、Aurora-A蛋白がバイオマーカーとなり得ることを突き止めた。さらに、基礎的検討では、Aurora-A制御による新たな治療法開発の可能性を示した。しかしながら、初年度に施行予定であったAurora-A経路制御による抗がん剤感受性の変化とその機序の解明が現在も実施中であるため。

今後の研究の推進方策

初年度に施行予定であったAurora-A経路制御による抗がん剤感受性の変化とその機序の解明を今年度も引き続き施行する。また、ヌードマウスを用いたモデル実験を行い、明細胞腺癌に対するAurora-A経路制御と抗がん剤との併用効果を確認する。

次年度使用額が生じた理由

初年度に施行予定であった実験計画がやや遅れており、次年度に実験を追加する。そのため、次年度に追加で物品を購入する必要が生じた。

次年度使用額の使用計画

具体的には、Aurora-A経路制御による抗がん剤感受性の変化とその機序の解明を施行するために、siRNAやFlow Cytometry等に必要な物品を購入する。また、モデル実験を行うために、ヌードマウスや抗がん剤等の必要物品を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Establishment and characterization of a novel uterine carcinosarcoma cell line, TU-ECS-1, with mutations of TP53 and KRAS.2017

    • 著者名/発表者名
      Chiba Y, Sato S, Itamochi H, Suga Y, Fukagawa T, Oumi N, Oishi T, Harada T, Sugai T, Sugiyama T
    • 雑誌名

      Human Cell

      巻: 30 ページ: 140-148

    • DOI

      10.1007/s13577-016-0154-6

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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