研究課題
卵巣明細胞癌74例のエクソームシーケンスデータを元に、腫瘍変異遺伝子情報からMHC class I 結合エピトープの予測を行ない、ネオエピトープを一つでも持つ抗原をネオアンチゲンとした。ネオアンチゲンを多く持つ症例と、少ない症例に群わけし予後を比較したが、PFS、OS共に予後差は認めなかった。次に免疫編集に関して検討した。免疫編集とは腫瘍の発生、発育の段階で抗腫瘍免疫が働いた場合、ネオアンチゲンを持ったクローンが排除されるため、腫瘍の変異遺伝子数に比較してネオアンチゲンの数が減少する可能性が考えられている。そこで卵巣明細胞癌で免疫編集が起こっているかを確認するために、ネオアンチゲン数を変異遺伝子数で割ったものを免疫編集の指標(neoantigen frequency, NF)として検討したところ、NFが低い群では予後が極めて良好で、NFが高い群で予後が増悪していることが明らかになった。NFはstage I/II期の卵巣明細胞癌で独立した予後因子となることがわかった。この背景にどのような免疫因子が関わっているかを明らかにするため、発現アレイの情報を利用して検討を進めた。DAVID Bioinformatics Resources 6.8 toolを用いてgene ontology解析を行った結果、NFが低い群、つまり予後良好の群では免疫に関連する遺伝子が発現増加していることが明らかになった。またGene set enrichment 解析の結果、“effector memory CD8 T cells”や“T cells”のgene setがNFが低い群でより高発現していることがわかった。逆にNFが高い群、つまり予後の悪い群ではHLA-class I の発現低下および免疫チェックポイント分子の発現上昇が明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
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