研究課題/領域番号 |
16K11153
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山上 亘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30348718)
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研究分担者 |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / コピー数増幅 / コピー数欠失 |
研究実績の概要 |
本研究の実施計画の概要は、1) 婦人科悪性腫瘍の癌部由来のDNA を用い、癌の増殖進展経路、分子標的治療薬の作用機序に関与する遺伝子変異やコピー数異常を解析し、その結果と悪性腫瘍の組織型、分化度、進行期の差異や予後との相関につき検討する 2) 婦人科悪性腫瘍細胞株を用いて、同様に遺伝子の変異やコピー数異常を解析し、同様の異常を有する細胞株を用いて、当該分子標的治療薬の効果を検証する 3) Tissue microarray をvalidation set として、当該遺伝子発現およびタンパク発現の多寡を調べる.マーカー遺伝子、分子としてのより簡便な検出法について検討を行う 4) 卵巣癌手術症例から樹立した癌細胞株を用いてSorafenibの感受性試験を行う。 1)については当院および他院より提供を受けた子宮体癌症例57例の原発巣のHE標本を顕微鏡下に病変を確認し、癌部をマーキングする。同部位の未染切片を作成して、HE標本を参考に、癌部をマーキングして、同部位削った検体からQUIAGENのkitを用いてDNAを抽出した。57例をFGF3, FGF4, FGFR1, FGFR2, PIK3CAのコピー数解析を行った結果、24例でコピー数解析が可能であった。4倍以上のコピー数増幅を認めた症例はFGF3が2例(8.3%)であった。また、0.5未満のコピー数減少(欠失)を認めた症例はPIK3CAが8例(33.3%)であった。症例数に比して、コピー数解析が可能だった症例が少なく、特に組織型による偏りが認められたため、症例数を追加して解析する予定である。また、2)についても同時に施行する予定である。4)については現在卵巣癌症例の腹水より初代培養を行い、現在継代中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究開始後まず最初に他施設から提供予定であった試料やデータについての利用について当施設の倫理委員会へ申請を行い、承認を受ける必要があった。当施設で承認された後に、さらに他施設でも試料やデータの提供に関する修正申請を行う必要があり、その承認を確認するまでに時間を要した。そのため、しばらく患者検体を用いた研究に着手するのが不可能であった。このことが、研究計画の遅れにつながったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣癌に対しては、現時点ではCD-DST法を用いた薬剤感受性の検討は外注先がなく、行いにくい状況であるため、卵巣癌患者から採取した腹水からの卵巣癌細胞株の樹立を行い、それを用いて薬剤感受性試験を行う予定である。現在、卵巣癌細胞株樹立を目指して継代培養中である。 子宮体癌に対しては、コピー数アッセイが可能だった症例の組織型に偏りが認められている(G3症例、特殊組織型が少ない)ため、症例数を増やして検討する必要がある。子宮体癌細胞株を用いて、コピー数解析を行い、FGF3, FGF4増幅やPIK3CA欠失を有する細胞株が認められれば、それを用いて、ソラフェニブ等分子標的治療薬の感受性試験を行いたいと考えている。但し、子宮体癌症例では以前検討した卵巣癌症例に比べて、コピー数増幅症例の割合が少数であるため、今後の臨床応用を考慮した際に、これ以上の研究を行うかどうかは検討を要する。 子宮頸癌については症例を選別中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究開始後まず最初に他施設から提供予定であった試料やデータについての利用について当施設の倫理委員会へ申請を行い、承認を受ける必要があった。当施設で承認された後に、さらに他施設でも試料やデータの提供に関する修正申請を行う必要があり、その承認を確認するまでに時間を要した。そのため、しばらく患者検体を用いた研究に着手するのが不可能であった。このことが、研究計画の遅れにつながり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は28,555円と研究費全体と比して少額である。今年度に行った子宮体癌症例のコピー数アッセイで解析可能であった症例に偏りが生じたため、少ない組織型の症例について追加実験を行う際に、次年度の研究費と合わせて使用予定である。
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