研究課題
研究代表者が所属する施設では、研究代表者は、手術標本からの検体採取・保存、臨床病理学的情報の収集・管理、MMR遺伝子産物・癌抑制遺伝子産物・シグナル伝達系分子・ホルモンレセプター等に関する免疫組織化学、FISH法を用いたゲノム異常の探索、薬剤感受性検査等を担当している。平成28年度だけでも新規の妊孕性温存治療を開始した若年体癌・異型増殖症患者数は24名に達し、合計283名となり、単一の組織ではこれを上回る治療例報告は世界中にない。現在、248例の時点での成績をまとめ、国際学会で発表する抄録を投稿済みである(2017年10月開催のEuropean Society of Gynecologic Oncologyにて発表予定)。主な治療成績を以下に示す。類内膜腺癌G1のMPA療法による病変消失率は90%、異型増殖症の病変消失率は97%であり、高率な寛解が得られている。妊娠例の総数は84名で延べ112回(6名妊娠中)で妊娠率は34%であるが、MPA治療にて寛解した症例で既婚ですぐの挙児希望がある患者での妊娠率は40%を越える。しかしながら、子宮内再発率は腺癌例で5年時に83%、異型増殖症で60%であり、高率な再発率を呈し、また妊娠・分娩まで至った経過良好な患者においても、妊娠終了後、5年時での子宮内再発率は、腺癌で62%、異型増殖症で35%であった。このような臨床データはまだ世界中で報告されていない。臨床症例から得た検体において、治療効果予測、再発予測に関する有用な因子を検索中であり、特にミスマッチ修復(MMR)遺伝子3種類の遺伝子(hMLH1、hMSH2、hMSH6)の蛋白発現、メチル化による不活化、MMR遺伝子の生殖細胞変異、MPA感受性検査、CD8・CD4陽性のリンパ球数、FOXP3・COX-2発現など腫瘍免疫状態、ホルモンレセプター発現の検索などを行っている。
3: やや遅れている
やや遅れている理由は、研究代表者が、慶應義塾大学医学部准教授から、新規に設立された国際医療福祉大学医学部産婦人科教授として2017年4月1日付けで任用されるにあたり、事前に、同大学医学部の設立準備作業、初めての医学部学生の入試に向けての準備作業、同大学の大学院設立のための準備作業等の業務が急遽遂行する必要が生じたため、研究遂行に必要なエフォート時間が少なくなったためである。
新規に設立された国際医療福祉大学医学部では研究体制がまだ確立されないため、引き続き慶應にて研究体制を持続し、非常勤講師としての職位を残して研究遂行に当たる予定である。
MMR酵素蛋白、ホルモンレセプター蛋白、ならびに腫瘍免疫関連蛋白(FOXP、Cox-2、CD8、CD4)などの免疫染色用の抗体試薬の購入については、未染標本作製(遅れている)が終了次第購入を行う予定である。あまり早期に購入しておくと抗体反応精度が低下するおそれがあり、来年度にまとめて購入することとしたため。
未染切片標本が作製し終わり次第、MMR酵素蛋白、ホルモンレセプター蛋白、ならびに腫瘍免疫関連蛋白(FOXP、Cox-2、CD8、CD4)などの免疫染色用の抗体試薬を購入予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
Jpn J Clin Oncol
巻: 47 ページ: 170-174
10.1093/jjco/hyw163
巻: 47 ページ: 401-406
10.1093/jjco/hyx037
Genes (Basel)
巻: 7 ページ: 86-97
10.3390/genes7100086
Mol Clin Oncol.
巻: 4 ページ: 179-182
10.3892/mco.2015.691
BMC Med Imaging.
巻: 16 ページ: 31-41
10.1186/s12880-016-0134-z
Reprod Biol Endocrinol
巻: 14 ページ: 2-8
10.1186/s12958-015-0136-7.
Anticancer Res
巻: 36 ページ: 1751-1758
Int J Clin Oncol.
巻: 21 ページ: 168-176
10.1007/s10147-015-0859-7
Gynecol Oncol
巻: 141 ページ: 447-453
10.1016/j.ygyno.2016.04.004
Gynecol Oncol.
巻: 140 ページ: 400-404
10.1016/j.ygyno.2015.12.023