研究課題
研究代表者は、手術標本からの検体採取・保存、臨床病理学的情報の収集・管理、MMR遺伝子産物・癌抑制遺伝子産物・シグ ナル伝達物系分子・ホルモンレセプター等に関する免疫組織化学、薬剤感受性試験などを担当している。 平成30年度段階で妊孕性温存治療を開始した若年体癌(G1/G2)・異型増殖症(AEHC)患者合計300名を超え、単一の組織ではこれを上 回る治療例成績の報告は世界中にない。297例時点での成績をまとめ、国際学会で発表した(2018年9月のInternational Gynecological Cancer Society)。この内容で現在論文作成中である。主な成績を以下に示す。治療後の経過観察が1年以上可能であった297例では、病変消失率は それぞれ、AEHC131例:98.5%、類内膜腺癌G1例160例:91.9%、G2例6例:100%であった。子宮内再発率は病変消失後5年にて、AEHC例:55%、G1例:83%、G2例:75%であった。病変消失と再発に関与する臨床病理学的因子としては、多のう胞性卵巣、月経不整周期、hMLH1蛋白発言低下、Lynch症候群関連癌の家族集積性などが確認された。治療目的である妊孕性温存結果は、297例中87例において138回の妊娠が成立し、103名の生児が得られた。パートナーがいる症例での妊娠率は45%であった。年代別と病理組織ごとに妊娠率を算出し、35-39歳台までは異型増殖症例、体癌例はともに35-75%の妊娠率を示したが、40歳代以降では体癌例の妊娠率が5%に低下したことを、世界で初めて報告した。 また、初回MPA療法と比較し、再発後の反復MPA療法においても良好な病変消失率が認められ、G1例において反復治療後妊娠率も初回MPA療法後妊娠率とほぼ同等の成績であったことを発表した(2018 JCO)。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
Carcinogenesis
巻: 40 ページ: 1-13
10.1093/carcin/bgz046
Cancer Science
巻: 109 ページ: 471~482
10.1111/cas.13469
Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences
巻: 4 ページ: 1-7
10.1186/s40780-018-0098-y
Journal of Gynecologic Oncology
巻: 29 ページ: 1-12
10.3802/jgo.2018.29.e21
日本臨床
巻: 76 ページ: 406~411
臨床婦人科産科
巻: 72 ページ: 418~423
産婦人科の実際
巻: 67 ページ: 1449~1459