研究課題
microRNA(miRNA)は、約22塩基と非常に短い1本鎖RNAで、様々な遺伝子の発現調節を行う。癌遺伝子c-mycの、標的遺伝子プロモーターへの結合を促進するMYCBPの遺伝子発現が、miRNAの一つであるmiR-22により抑制されることを我々は子宮頚癌細胞株にて確認し、さらにmiR-22を子宮頸癌株に遺伝子導入すると細胞増殖が抑制され、miR-22をノックダウンすると細胞の遊走能が亢進することを確認した。エクソソームは、細胞から分泌されるナノサイズの細胞外顆粒で、脂質二十膜構造に、シグナル伝達物質、mRNAやmiRNAなどの遺伝子発現調節因子を内包し、血清、唾液、尿、母乳などの体液に分泌される。そこで、miR-22を癌選択的に輸送するため、エクソソームに着目し、進行・再発子宮頸癌の治療へ応用するための検討を行うこととした。超遠心法を用いてHEK 293細胞のエクソソームを抽出し、Western Blotting、電子顕微鏡およびナノ粒子解析システムで確認した。次に、HEK293細胞にmiR22を遺伝子導入し、その細胞の分泌するエクソソーム内にmiR-22が発現していることを確認した。さらに、回収したエクソソームを子宮頸癌細胞株に投与し、放射線治療感受性への影響をclonogenic assayを用いて確認したところ、miR-22内包エクソソームの投与により、放射線感受性が上昇した。