研究課題
近年癌細胞の浸潤・転移過程において上皮間葉形態転換(Epithelial-Mesenchymal Transition: EMT) が注目されているが、このEMT現象が子宮内膜癌において重要な予後因子となる事を報告した。またEMTを起こす細胞は強い自己複製能と腫瘍形成能を有し薬剤に耐性を示すことが明らかとなりつつあるが、我々はEMTの有用な表面マーカーとして、乳癌、膵臓癌で癌幹細胞のマーカーとしても注目されているCD24に着目した。CD24は分子量35-45KDaのグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型シアロ糖タンパクで、細胞表面に存在しさまざまな癌種で過剰発現が予後悪化因子であると報告されている。我々は子宮内膜癌においてCD24高発現が組織型や分化度、予後と有意に相関する事や、EMTを介した浸潤・転移と相関していることを明らかにした。さらにCD24はGPIアンカー型タンパク質であるが、GPIアンカー型蛋白質は細胞膜の外側に存在するため、このような蛋白質がどのような役割を担っているのかは長らく不明であった。近年の研究からGPIアンカー型蛋白質にリガンドが結合するとオンデマンドで細胞膜上にlipid raftが形成され、このraftに細胞質内のシグナル分子がリクルートされる事が徐々に明らかとなってきている。我々は、CD24がlipid raftを形成すること、そしてそこへpMETがリクルートすることにより細胞内へシグナルを伝達することを見出した。pMETがリクルートされるとAKtやERKのリン酸化が引き起こされ、これが化学療法抵抗性の原因の一つになっていることをつきとめた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
Oncotarget
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