研究実績の概要 |
【細胞株を用いた実験】子宮体癌細胞株 HEC-1A及びIshikawaを用いて、イトラコナゾールによる細胞増殖抑制実験(MTT assay)を行ったところ、いずれも抗真菌薬として内服した際のヒト血中濃度1 μMで有位に増殖が抑制され、イトラコナゾールによる濃度依存的かつ時間依存的体癌細胞増殖抑制効果が認められた。また、浸潤抑制実験 (migration assay) でもイトラコナゾールによる浸潤抑制効果が示された。これらを再検証し論文報告した(Inoue K, Tsubamoto H, et al. Anticancer Res, 36:149-53, 2016)。次に、子宮体癌細胞株AN3-CA、HEC-50B、SNG-IIでも同様にMTT assayを実施したところ、イトラコナゾールはAN3-CAに対して増殖抑制効果を認めたが、HEC-50B、SNG-IIでは抑制効果は認めなかった(non-responder群)。癌腫により異なる作用を示したため、5種類の子宮体癌細胞株をイトラコナゾール10 μM またはvehicle を用いて48時間培養した。5 pairsについてSurePrint G3 Human Gene Expression 8×60K v2 Microarray kit を用いたcDNA microarrayでtrascriptionの相違を検討し、さらに抽出蛋白の免疫組織染色でtranslationを検証した。これまでイトラコナゾールの癌細胞への腫瘍効果についてヘッジホッグシグナル阻害作用が報告されていたが、子宮体癌細胞株responderではヘッジホッグシグナルの変化は認めず、Akt/mTORの抑制、オートファジーの誘導により増殖が抑制されたことがわかった。また、Non-responderではコレステロールの細胞外輸送に関わるABCA1が抑制されていることがわかった(Tsubamoto H, et al. Anticancer Res, 37:515-519, 2017. AcknowledegmentにKAKEN JP16K11166 記載)。
|