研究課題/領域番号 |
16K11175
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岡本 昌之 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (90464057)
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研究分担者 |
山田 武千代 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70283182)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 顔面神経 |
研究実績の概要 |
顔面神経麻痺の治療において、麻痺が高度な場合は早期に適切な治療を行っても後遺症が残る症例が存在する。我々の施設においても末梢性顔面神経麻痺102例の検討にて、約9%の症例が非治癒症例となっている。このような高度麻痺例の予後改善のためには神経障害部位においてワーラー変性を来した神経の新たな軸索伸張および再髄鞘化を促すことが重要である。そのために我々は神経軸索伸張に必要な分子を細胞レベルで検討を行い、それらの分子を発現調整することによって、障害神経のすみやかな再生を促すことを目的として研究を行っている。軸索伸展にはDISC1, Ndel1, Lis1,DBZなどの分子が必要であり、これらの分子の複合体がGSK3β、CRMP-2を介して微小管重合速度を調整している。我々はこれまで、マウスの大脳皮質の発達、形成をメインテーマに神経細胞が生まれてから成熟し、移動して大脳皮質を構成する過程の研究を行ってきた。そのなかでDisrupted-In-Schizophrenia 1(DISC1)という、統合失調症の原因遺伝子として機能解析が行われている分子に着目した。DISC1は大脳皮質構成ニューロンの成熟、移動に必須の分子であり、子宮内エレクトロポレーション法によって脳室帯にDISC1ノックダウンベクターを導入すると細胞の移動障害がおきることを我々は確認している。それに引き続き、今回我々は、蛍光標識であるEGFP結合DISC1発現ベクターを作成した。このDISC1-EGFPを強発現させると、大脳皮質構成ニューロンの移動がコントロールにくらべて早くなるという結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、当初の計画通りに進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はEB-3を用いた細胞内での微小管重合速度を、各遺伝子の強発現、ノックダウンによってどう変化するかについて検討をおこなっていく。また、顔面神経麻痺モデルを用いた実験を今年度、来年度において進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の予定としてマウスを用いた実験を行うまでには至らず、来年度以降に実施予定をしている。 そのために次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降においてマウスおよびベクター調整の試薬を多く使用する予定である。
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