治療法のない難聴の殆どが蝸牛有毛細胞の障害を原因とすることから、聴覚再生に向けた研究の多くが有毛細胞の再生を目的としてきた。蝸牛の内有毛細胞と外有毛細胞は機能も異なり、内有毛細胞が聴覚情報を中枢に伝え、外有毛細胞は聴覚情報の増幅器として機能する。蝸牛の有毛細胞は、機能的に分化し高度の規則性をもって配列する細胞であるだけに、それをin vitroで作り出すことは現時点では困難であり、聴覚再生研究における次なるマイルストーンとも言える。本研究は、内有毛細胞と外有毛細胞の分化メカニズムを解明するものであり、この結果はさらなる聴覚再生研究に寄与できると考えられる
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