研究課題/領域番号 |
16K11182
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
廣瀬 敬信 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80555714)
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研究分担者 |
菅原 一真 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20346555)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 内耳障害 / 側線器有毛細胞 / ゼブラフィッシュ |
研究実績の概要 |
内耳にある有毛細胞が障害されると、難聴が引き起こされる。有毛細胞は一度障害されると再生しないので、治療は難しく、難聴には予防が肝心であるといえる。その基礎実験としての難聴モデルはげっ歯類が用いられることが多いが、有毛細胞の易可視化の点からゼブラフィッシュの側線器有毛細胞を用いたモデルで行っている。28年度に作成した超音波を用いたゼブラフィッシュの側線器による有毛細胞を障害した難聴モデルを用い、そのメカニズムに関して、活性酸素の発生とミトコンドリアの機能異常を検討した。周波数160kHz・出力10W・曝露時間1hの超音波でゼブラフィッシュの側線器にある有毛細胞を障害し、超音波曝露直後・超音波曝露24時間後・超音波曝露48時間後のゼブラフィッシュの側線器有毛細胞で活性酸素のレベル(H2DCFDA染色)とミトコンドリアの膜電位(MitoTracker Red染色)がコントロール群と比較して変化しているかの検討を行った。結果は有毛細胞における活性酸素のレベルは超音波曝露直後群では有意に上昇し、超音波曝露24時間後群と超音波曝露48時間後群では、活性酸素のレベルは暴露前のレベルになっていた。一方、ミトコンドリアの膜電位については、超音波曝露直後、24時間後、48時間後群のすべてにおいて、ミトコンドリアの膜電位の有意な低下が見られた。よって、超音波によって発生した活性酸素がミトコンドリアの機能異常を来し、有毛細胞を障害している事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
側線器有毛細胞において、音波障害によって発生した活性酸素がミトコンドリアの機能異常を来し、有毛細胞を障害している事が解ったので、概ね順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
超音波モデルでの活性酸素の関与をより確かにするために、今後抗酸化物質の投与で有毛細胞を保護する効果に関して検討し、更にはげっ歯類等を用いて実験を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は聴覚医学学会に参加しなかった事から旅費、参加費について未使用額が生じた。この未使用額については平成30年度の打ち合わせ等にかかる旅費と併せて使用する。
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