研究課題
ラットの内耳を破壊し、誘発される左向き眼振の頻度を経時的に測定した。眼振は48時間以内に消失した。内耳破壊後の眼振の消失過程により、前庭代償の前期過程が評価できると考えられた。次に、内耳破壊後に経時的にMK801を投与して脱代償を誘発し、脳幹のFosを免疫組織化学法により染色した。左)前庭神経核のFos陽性ニューロンは、内耳破壊14日後に消失した。MK801で誘発される左)前庭神経核のFos陽性ニューロンは、前庭代償の後期過程で小脳により抑制されていたニューロンであり、右)前庭神経核の自発発火の回復に伴って抑制が消失する。このことから、内耳破壊後のMK801で誘発される左)前庭神経核のFos陽性ニューロンの消失過程により、前庭代償の後期過程が評価できると考えられた。右)内耳破壊後のラットにH3受容体拮抗薬であるthioperamideを浸透圧ポンプにより持続投与し、前庭代償の初期過程と後期過程に及ぼす効果を検討した。Thioperamideは眼振の消失時期には影響しなかった。一方、thioperamideは、MK801で誘発される左)前庭神経核のFos陽性ニューロンを有意に早期に消失させた。このことから、H3受容体拮抗薬であるthioperamideは、前庭代償の前期過程には影響せず、後期過程を促進すると考えられた。抗めまい薬であるbetahistineもH3受容体作用を持つ。内耳破壊後にbetahistineを浸透圧ポンプにより持続投与したところ、同様の結果が得られ、betahistineも前庭代償の後期過程を促進すると考えられた。一方、内耳破壊後にdiazepamを浸透圧ポンプにより持続投与したところ、一時的に眼振を抑制したものの、眼振の消失時期には影響しなかった。Diazepamは前庭代償の前期過程に影響を与えないと考えられた。
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Acta Otolaryngologica
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10.1080/00016489.2019.1599140