研究課題/領域番号 |
16K11184
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 豪 徳島大学, 病院, 講師 (30464358)
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研究分担者 |
武田 憲昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (30206982)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 平衡訓練 / 重心動揺検査 / 歩行解析 / 前庭機能低下 / 平衡障害 |
研究実績の概要 |
バーチャルリアリティ(仮想現実、VR)により3次元の仮想空間を形成し、被験者に視覚情報と前庭情報が不一致(visual-vestibular conflict)の仮想空間で作業を行わせると視覚性めまいが誘発される。本研究の目的は、頭部の傾斜度を振動情報に変換して下顎部に与える平衡訓練器(Tilt Perception Adjustment Device,TPAD)による訓練を行って、姿勢制御に対する視覚依存から体性感覚依存へ重み付けを再調整する新しい平衡訓練の開発を開発することである。 本年度は、両側前庭機能障害を対象に検討を行った。患者には3ヶ月間、TPADを装着したままで、顔を傾ける、立つ、座る、歩くなどの指定されたタスクを自宅で20分以上毎日行ってもらった。効果判定には、Dizziness Handicap Inventory(DHI)、Functional Balance Scale(FBS)、ラバー負荷重心動揺検査に加えて、市販の光学式3次元動作解析装置(VICON)を用いて、TPAD訓練前後の歩行解析を行った。 その結果、両側前庭機能低下症例に対してTPADを用いた平衡訓練を3ヶ月行うことによって、歩行ピッチが減少し、歩幅が大きくなり、ゆったりと安定した歩行ができるようになったことが光学式3次元動作解析により明らかとなった。また、患者のDHIやFBS、重心動揺に関しても改善が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
両側前庭機能低下症例に対してTPADを用いた平衡訓練を3ヶ月行うことによって、歩行ピッチが減少し、歩幅が大きくなり、ゆったりと安定した歩行ができるようになったことが光学式3次元動作解析により明らかとなった。また、患者のDHIやFBS、重心動揺に関しても改善が認められ、TPADによる両側前庭機能低下症例の平衡障害に対する装用効果および訓練効果が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
両側前庭機能低下症例にTPADを用いて、重心動揺の改善と歩行の安定が認められたことから、次年度は、一側性前庭機能低下症例や外傷後の慢性難治性平衡障害症例に対するTPADの姿勢制御に対する効果を検討する予定である。具体的には、対象者に対して平衡訓練前にラバー負荷重心動揺検査、光学式3次元動作解析、DHIおよびFBSで評価を行い、その後3ヶ月間、TPADを用いた平衡訓練を毎日20分以上自宅でおこなってもらう。3ヶ月後に改めて前述の評価を行い、TPADによる平衡訓練の効果および視覚依存性、体性感覚依存性の変化について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:付属の記録メディアの購入を行わなかったため。 使用計画:現在のTPADは耐久性の問題があり、故障の発症例も起きている。今年度は、故障したTPADの修理を行う予定である。
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