研究課題/領域番号 |
16K11185
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
羽藤 直人 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (60284410)
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研究分担者 |
山田 啓之 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (00403808)
岡田 昌浩 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20512130)
鵜久森 徹 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (80512128)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 顔面神経麻痺 / 神経再生 / 栄養因子 / 冷却刺激 / 単純ヘルペスウイルス |
研究実績の概要 |
高度な顔面神経麻痺の治療成績は概して不良であり、これを向上するには従来の発想とは異なった新しい手法による治療法の開発が望まれる。申請者らは経鼓膜的に神経再生効果を有する徐放化栄養因子を鼓室内に投与すれば、高度麻痺も治癒するのではないかと着想した。既に我々は臨床的に減荷術の際に徐放化bFGFを神経外膜に投与すると高度麻痺が高率に治癒することや、動物実験で鼓室内投与した薬剤が鼓室部顔面神経に高濃度に移行することを明らかにしている。本研究では、顔面神経高度麻痺動物の鼓室内へ、bFGFあるいはIGFを含浸させた生体吸収性徐放ゲルを投与し、顔面神経への移行と再生効果を検証する.良好な研究成果が得られれば、高度顔面神経麻痺に対する新しい耳鼻咽喉科的治療法の開発につながる研究である。 平成28年度は高度に障害される顔面神経麻痺モデルの作製を行った。まず、単純ヘルペスウイルス(HSV)をラットの耳介に接種し抗ウイルス薬を全身投与することで脳炎を制御しつつ、高度麻痺を発症するモデル動物を作製し、組織学的、電気生理学的検討を行った。この結果はANLに論文発表した。また、高度な顔面神経麻痺を作製するもう一つの方法として、冷却スプレーによる顔面神経麻痺モデルの作製をモルモットを用い試みた。その結果、高度麻痺モデルの作製に成功し、現在検証を行っている。HSV性麻痺ラットや冷却麻痺モルモットでは、顔面神経への自然な栄養因子移行が期待でき、より臨床に近い検証が可能と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は予定していた高度に障害される顔面神経麻痺モデルの作製を行った。まず、単純ヘルペスウイルス(HSV)をラットの耳介に接種し抗ウイルス薬を全身投与することで脳炎を制御しつつ、高度麻痺を発症するモデル動物を作製し、組織学的、電気生理学的検討を行った。この結果はANLに論文発表した。また、高度な顔面神経麻痺を作製するもう一つの方法として、冷却スプレーによる顔面神経麻痺モデルの作製をモルモットを用い試みた。その結果、冷却刺激で高度麻痺モデルの作製に成功し、現在検証を行っている。HSV性麻痺ラットや冷却麻痺モルモットでは、顔面神経への自然な栄養因子移行が期待でき、より臨床に近い検証が可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
HSV麻痺ラットでは高度な顔面神経麻痺は作製できたが、死亡率が高く栄養因子投与による治療研究には不向きであった。そこで、研究対象を冷却による顔面神経麻痺モルモットに絞り、鼓膜切開により鼓室内に徐放化栄養因子を投与する。栄養因子はゼラチンハイドロゲルに含浸させた後、2週間で徐放させる。栄養因子はbFGFとIGF1の2種類を比較検討する。投与時期は、麻痺発症直後と1週後の2群に分ける。栄養因子の投与量は、鼓室内に入るゼラチンとイオン結合可能な最大量である100μgを想定している。無処置群での顔面神経障害程度や自然経過を確認後、徐放化栄養因子投与群と電気生理学的、組織学的、行動学的にその有効性、安全性を比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル動物の作製に時間を要し、栄養因子の投与実験が予定より遅れたため、高額な製剤購入費用が次年度に移行したため。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品費として、主に神経栄養因子の購入に用いる。
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