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2017 年度 実施状況報告書

中耳真珠腫発症機序へのメカノトランスダクション誘導性YAP関与の解明と治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K11186
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

福田 智美  東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40372776)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードYAP / Wnt5a / 中耳真珠腫
研究実績の概要

中耳真珠腫は、骨破壊・脳膿瘍などの致命的な合併症を起こす難治性慢性増殖性疾患で、増殖能が更新した重層扁平上皮と厚い皮下組織を特徴とする。真珠腫の発症機序として中耳調圧機構の破綻を誘因とした中耳腔陰圧による鼓膜陥凹、上皮増殖が報告されており、メカノストレス誘導性YAP/TAZによる細胞分化抑制増殖誘導機構の関与が示唆できる。
1.動物モデル(中耳陰圧モデル)での解析:動物モデル解析では、機械的陰圧モデル(鼻すすりによる中耳腔陰圧モデル)(Akiyama N, Yamamoto-Fukuda T et al, 2014)を用い、メカノセンシングの関与を検討する目的でHippoシグナル因子であるYAP、リン酸化およびその上流因子であるWnt5a発現について抗YAP抗体、抗リン酸化YAP抗体、抗Wnt5a抗体、を用いて免疫組織学的に評価した。結果、陰圧をかけた鼓膜弛緩部では鼓膜の肥厚を認め、同部位の細胞においてWnt5aの発現上昇とYAPの核内移行が認められた。
2.ヒト真珠腫組織でのメカノセンシング、Hippo シグナルYAP/TAZ発現解析:手術時に採取した中耳真珠腫組織・正常皮膚を用い、解析をおこなった。Hippoシグナル因子であるYAP、リン酸化およびその上流因子であるWnt5a発現について抗YAP抗体、抗リン酸化YAP抗体、抗Wnt5a抗体、を用いて免疫組織学的に評価した。結果、ヒト中耳真珠腫でもWnt5aの発現上昇とYAPの核内移行上昇が認められたが、陽性細胞がすべて一致するわけではなかった。
以上のように、vivoの系とヒト組織を用いた系では結果の解離が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在のところ当初の予定であったヒト組織およびvivoもでるでの解析が終了した。今年度は阻害実験を行う予定であったが上記実験結果において結果の解離があったため、当初の計画では申請していなかったが、鼓膜由来初代培養細胞を用い、器械刺激によりメカノセンシングのダイレクトな刺激を受けた細胞動態の解析を行う必要が出てきた。

今後の研究の推進方策

ヒト組織およびvivo解析を行なった結果、解離があった。すなわち、時間空間的違いによる結果の解離であるのか、もしくはメカノトランスダクション誘導性YAPが真珠腫発症に関わる候補因子とはなりえないのかを解析する必要があると考えられ、当初の計画では申請していなかったvitro実験を行う。鼓膜由来初代培養細胞を用い、進展刺激によりメカノセンシングの刺激を受けた細胞そのものの動態の解析を行う。また、YAP上流因子として、Wnt5a以外の因子の検討が必要と考えられ、進展刺激時に分泌される蛋白を回収し、解析する。

次年度使用額が生じた理由

期間内に投稿した論文の受理が遅れ、論文投稿費の支払いが次年度となってしまった為、次年度使用額が生じた。また、培養細胞を用いた実験に関するセットアップがまだ済んでおらず、物品購入が終了していないため、その分の経費を次年度使用予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Keratinocyte Growth Factor (KGF) Modulates Epidermal Progenitor Cell Kinetics through Activation of p63 in Middle Ear Cholesteatoma.2018

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto-Fukuda T, Akiyama N, Takahashi M, Kojima H.
    • 雑誌名

      J Assoc Res Otolaryngol

      巻: 19(3) ページ: 223-241

    • DOI

      10.1007/s10162-018-0662-z.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of YAP signaling in a rat tympanic membrane under a continuous negative pressure load and in human middle ear cholesteatoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Akiyama N, Yamamoto-Fukuda T, Yoshikawa M, Kojima H.
    • 雑誌名

      Acta Otolaryngol.

      巻: 137(11) ページ: 1158-1165.

    • DOI

      10.1080/00016489.2017.1351040.

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation of Mechanotransduction in a Rat Tympanic Membrane Under a Continuous Negative Pressure Load and in Human Middle Ear Cholesteatoma.2018

    • 著者名/発表者名
      Naotaro Akiyama, Tomomi Yamamoto-Fukuda, Mamoru Yoshikawa, Hiromi Kojima
    • 学会等名
      The Association for Research in Otolaryngology 41th Annual MidWinter Meeting
  • [学会発表] Keratinocyte Growth Factor (KGF) Modulates Epidermal Progenitor Cell Kinetics Through activation of p63 in middle ear cholesteatoma.2018

    • 著者名/発表者名
      Tomomi Yamamoto-Fukuda, Naotaro Akiyama, Hiromi Kojima
    • 学会等名
      The Association for Research in Otolaryngology 41th Annual MidWinter Meeting
  • [学会発表] ラット中耳陰圧モデルおよび弛緩部型真珠腫におけるYAPシグナルの解析2017

    • 著者名/発表者名
      穐山 直太郎, 福田 智美, 吉川 衛, 小島 博己
    • 学会等名
      第27回日本耳科学会総会・学術講演会
  • [学会発表] 中耳真珠腫発症機序の解明:中耳真珠腫形成における神経堤由来細胞の役割2017

    • 著者名/発表者名
      福田智美、穐山直太郎、高橋昌寛、小島博己
    • 学会等名
      第27回日本耳科学会総会・学術講演会

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公開日: 2021-01-27  

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