研究課題/領域番号 |
16K11188
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
村上 信五 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (80157750)
|
研究分担者 |
植木 美乃 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40467478)
稲垣 彰 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (70405166)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 顔面神経麻痺 / 耳科学 / 経頭蓋磁気刺激法 / 機能的脳画像法 |
研究実績の概要 |
経頭蓋的磁気刺激法(TMS)を用いて、ヒト大脳運動皮質の興奮性を長時間高めることが可能となり、人工的に運動皮質の脳可塑性を誘導する手法として注目を集めている。中でも、TMSと末梢神経電気刺激を組み合わせた連合性対刺激(TMS followed by a paired associated stimulation、TMS-PAS)は多数の末梢神経系で15-30msの間の適切なTMS-PAS間の刺激間隔を設定することで、長期増強(long term potentiation, LTP)による反応増強を誘導できることが示されている。昨年、TMS-PAS間の刺激間隔を20msに設定することで、健常者の顔面表情筋においてTMS-PASを用いることで、少なくとも一過性にLTPによる反応増強が誘導されることが報告され、顔面表情筋の運動機能障害に対する新たなリハビリテーション法として期待されている。 名古屋市立大学病院IRBに臨床試験研究の申請を行い、認可を得たのちに重度の末梢性顔面神経麻痺患者を対象に、TMS-PASにより運動リハビリテーションを行い、その効果を検証した。重度の顔面神経麻痺患者に対してTMS-PASを合計8回、繰り返し用いることで、顔面神経麻痺患者において笑顔、食事の際に重要であり、顔面表情筋の中でもとりわけ障害による苦痛の強い口角下制筋、大頬骨筋(口を横に「イー」と引く筋)の随意運動の増強の改善に優れることを、顔面神経麻痺スコアを用いて検証した。 現在まで7人の患者をリクルートし、臨床試験申請に基づき経頭蓋磁気刺激法による顔面リハビリ治療を施行した。同時にfMRIによる画像検査を行い、共同研究者の協力も得ながら解析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り、臨床試験を実施、7人の患者をリクルート、経過を追跡中である。
|
今後の研究の推進方策 |
必要であれば、さらなる共同研究者の協力を得て、より高解像度な画像やトラクトグラフィーといった画像検査を導入する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現在、既存の設備を利用し研究を行っており、予定した物品の購入に至っていない。
|
次年度使用額の使用計画 |
今後、申請物品を購入し、研究の促進に役立てる予定である。
|