研究課題/領域番号 |
16K11194
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
和田 仁 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 教授 (30111264)
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研究分担者 |
濱西 伸治 仙台高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (00374968)
村越 道生 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (70570901)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 診断装置 / 中耳・内耳 / SFI |
研究実績の概要 |
中耳病変の診断には,プローブ音を220 Hz又は226 Hzに固定した,tympanometer (TYM)と呼ばれる診断装置が広く使用されている.3歳児で罹患率の高い,滲出性中耳炎の診断には特に有効である.しかし,他の中耳病変の診断では,TYMは必ずしも有効とはいいがたい.そこで,本研究ではプローブ音を0.1 kHzから6.0 kHzまで連続的に変化させ,TYMより遥かに多くの情報を得ることができる,中耳病変のみならず内耳病変も診断できる中耳・内耳病変診断装置Sweep Frequency Impedance Meter (SFI)の開発を試みる.
1. SFIの組み立て:制御OSにリアルタイムOSを搭載するDSPを採用したSFIシステムの開発を試みた.プログラム開発においては,MATLAB/Simulinkを採用し,可読性が高く機能毎にモジュール化されたプログラム開発を目指した.ハードウェア開発においては,静音・高速化のため,ロータリーポンプを採用した静圧制御機構の開発を試み,+200 daPaから-200 daPaまで数秒で圧力掃引することが可能となった.高周波数プローブ音(f = 1, 2, 4, 6, 8 kHz)の出力アルゴリズムについても検討し,僅かに波形が歪むものの概ね良好な結果を得た.
2. 周波数特性がフラットなプローブの開発:診断の精度を高めるためには,周波数特性がフラットなプローブの開発が必須である.周波数特性のよいイヤフォン(Etymotic ER2)とマイクロフォン(Etymotic ER10B)を用い,また,プローブ内でのイヤフォンとマイクロフォンの配置を吟味し,6.0 kHzまで周波数特性がフラットなプローブを試作した.そして,外耳道に見立てた円筒管に挿入し,その周波数特性を計測した.この作業を繰り返し,周波数特性がフラットなプローブを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. SFIの組み立て 医療装置として安定なシステムであることを重視し,研究室で従来より採用してきた開発環境(PC及びWindows OS,LabView)から新たな開発環境(DSP及びリアルタイムOS,MATLAB/Simulink)で開発を試みている.そのため,プログラムの開発に当初見込みよりも多くの時間を要してしまった.
2. 周波数特性がフラットなプローブの開発 外耳道の共振,反共振領域で,プローブの周波数特性がフラットでない.
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今後の研究の推進方策 |
1.SFIの組み立て及び正常耳での計測 圧力センサー及びフィードバックプログラムの追加で,より高精度な圧力制御機構の開発を目指す.また,ローパスフィルタ等のアナログ回路の付加等によって出力波形の改善を検討していく.プローブ音の最適化についても検討していく予定である. SFIで計測できるようにする.そして,研究室の学生,職員および病院の職員などのボランティア(正常耳)の周波数動特性を計測する.また,計測データを統計的に処理し,正常耳の特性を把握する.大学病院等との連携により,新生児での計測環境確立についても検討していく.
2. 正常耳の数値シミュレーション 科学技術計算用ソフトウェア(COMSOL)を用い,正常耳でのSFI計測結果をシミュレーションできるようにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
1. 消耗品費(プログラム開発環境)を計上していたが,今年度はシステム制御プログラムの開発立ち上げが遅くなったために,当該開発環境の更新も遅らせることとしたために,使用しなかった. 2.旅費を計上していたが,使用しなかった.他の研究費を利用した.
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次年度使用額の使用計画 |
1. プログラムの初期開発(version 1)に目処をつけ,そのタイミングで開発環境の更新を実施する予定である. 2.本研究の打ち合わせのために,旅費を使用する.
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