研究課題/領域番号 |
16K11201
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
萩森 伸一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90291799)
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研究分担者 |
櫟原 崇宏 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20624240)
和田 晋一 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80784355)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Hunt症候群 / 水痘・帯状疱疹ウイルス / 細胞性免疫 / 発症機序 |
研究実績の概要 |
顔面神経麻痺は比較的予後良好なBell 麻痺と予後不良のHunt 症候群で約8 割を占める。Hunt 症候群は顔面神経に潜伏感染したVZVの再活性化によって生ずることが以前から知られているが、その発症メカニズムは未だ十分には解明されていない。 本研究は、Hunt 症候群患者の水痘・帯状疱疹ウイルス(以下VZV)特異的細胞性免疫能を、enzyme-linked immunospot 法(ELISPOT法)を用いて発症直後から経時測定し、VZV 特異的細胞性免疫能の低下がHunt症候群の発症およびその予後に関わるかを明らかにするものである。 具体的にはHunt 症候群およびBell 麻痺患者の血液から単核球を分離し、VZV 抗原刺激で産生されるIFN-γをELISPOT 法にて測定し、VZV 特異的細胞性免疫能を評価する。これを統一患者において発症直後と発症1~2か月後に複数回測定し、VZV特異的細胞性免疫能の発症後における動態を計測する。Bell麻痺とHunt症候群におけるVZV特異的細胞性免疫能の変化を比較することで、Hunt症候群発症におけるVZV特異的細胞性免疫能低下の関与について考察する。 平成29年度はHunt症候群5名、Bell麻痺8名の合計13名に対してそれぞれ2~4回の測定結果を解析した。その結果、Hunt症候群ではVZV特異的細胞性免疫能は発症直後には比較的高く、その後緩やかに低下するのに対し、Bell麻痺では当初高くのちに下がるもの、最初は低く後で上がるものなど、一定の傾向はみられなかった。以前の当科における研究で、Hunt症候群患者では発症ごく初期においてはVZV特異的細胞性免疫能は低く、その後急速に上昇することが明らかになっている。これを考え合わせると、Hunt症候群における発症はVZV細胞性免疫能低下により発症し、その免疫能は急激に上昇、以後緩やかに低下すると考察された。 顔面神経麻痺患者、特にHunt症候群とVZV特異的細胞性免疫能との関連について、国際学会も含め3つの学術講演会・研究会で発表、報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度はHunt症候群5名、Bell麻痺8名の合計13名に対してそれぞれ2~4回の測定結果を解析した。その結果、Hunt症候群ではVZV特異的細胞性免疫能は発症直後には比較的高く、その後緩やかに低下するのに対し、Bell麻痺では一定の傾向はみられなかった。以前の当科における研究で、Hunt症候群患者では発症ごく初期においてはVZV特異的細胞性免疫能は低く、その後急速に上昇することが明らかになっている。これを考え合わせると、Hunt症候群における発症はVZV細胞性免疫能低下により発症し、その免疫能は急激に上昇、以後緩やかに低下すると考察された。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は検体の最測定や得られたデータの解析を進めると共に、各患者の水痘・帯状疱疹の病歴や麻痺スコアの経時変化などを追い、Hunt 症候群の発症およびその予後とVZV 特異的細胞性免疫能との関連性について解析、学会発表や論文作成を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品については既に購入したのもので充足したため、次年度使用額が生じた。平成30年度に消耗品購入費に充てる予定である。
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