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2016 年度 実施状況報告書

全エクソーム解析による原発性線毛運動不全症の原因遺伝子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 16K11210
研究機関三重大学

研究代表者

竹内 万彦  三重大学, 医学系研究科, 教授 (50206942)

研究分担者 北野 雅子  三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20378334)
藤澤 隆夫  独立行政法人国立病院機構三重病院(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構三重病院, 院長 (20511140)
中谷 中  三重大学, 医学部附属病院, 教授 (80237304)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード遺伝子解析 / 常染色体劣性遺伝 / 線毛 / パネル
研究実績の概要

原発性線毛運動不全症(primary ciliary dyskinesia, PCD)は線毛運動に関連する遺伝子変異により慢性副鼻腔炎、中耳炎、気管支拡張症、不妊、内臓逆位(約半数)をきたす常染色体劣性遺伝の疾患である。DNAH5とDNAI1のhot spotsのサンガー法によるスクリーニングではほとんど原因遺伝子は見つからず、欧米における原因遺伝子のhot spotsと本邦でのそれが異なる可能性が示唆された。次に、何例かにつき全エクソーム解析で原因遺伝子を解析したが、見出せたのはDNAH5の一例のみであった。
そこで、より効率よく原因遺伝子を解析する目的で、遺伝子パネルを作成し原因遺伝子変異を明らかにすることを試みた。臨床的に本症が疑われる患者46名(年齢1歳~64歳、男23名、女23名)を対象とした。Ion Torrent PGMシステムを用いて既知の32遺伝子のエクソンとその周辺領域を増幅し、塩基配列を決定し参照配列と比較して変異を同定した。
その結果、7家系10名(22%)で候補遺伝子を同定できた。DNAH5に変異を認めたのが4家系、CCDC40、DNAI1、RSPH4Aにそれぞれ1家系ずつ変異を認めた。見出された変異の多くは新規変異であった。今回判明した13変異のうち、2変異は他国で報告があった。
よって、13変異のうち、10変異は他に報告のない新たな変異であった。以上より、遺伝子パネルは原因遺伝子を同定するのに有用であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DNAH5とDNAI1のhot spotsのサンガー法によるスクリーニングではほとんど原因遺伝子は見つからず、全エクソーム解析で原因遺伝子を見出せたのはDNAH5の一例のみであった。しかし、より効率よく原因遺伝子を解析する目的で作成した遺伝子パネルで、患者46名中、7家系10名(22%)で候補遺伝子を同定できたからである。

今後の研究の推進方策

欧米の遺伝子変異データに基づくDNAH5とDNAI1のhot spotsのサンガー法によるスクリーニングではほとんど原因遺伝子は見つからなかったので、今後はhot spotsのスクリーニングはしばらく休止し、32遺伝子の遺伝子パネルで原因遺伝子を検索し、それで判明しなかったものに関して全エクソーム解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度もう一度行う予定であった次世代シーケンシングを次年度に行うこととしたため

次年度使用額の使用計画

次世代シーケンシングに必要なキットの購入

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Whole-exome sequencing identification of novel DNAH5 mutations in a young patient with primary ciliary dyskinesia.2016

    • 著者名/発表者名
      Kano G, Tsujii H, Takeuchi K, Nakatani K, Ikejiri M, Ogawa S, Kubo H, Nagao M, Fujisawa T.
    • 雑誌名

      Mol Med Report

      巻: 14 ページ: 5077-5083

    • DOI

      10.3892/mmr.2016.5871.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Recent advances in primary ciliary dyskinesia.2016

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi K, Kitano M, Ishinaga H, Kobayashi M, Ogawa S, Nakatani K, Masuda S, Nagao M, Fujisawa T.
    • 雑誌名

      Auris Nasus Larynx

      巻: 43 ページ: 229-36

    • DOI

      doi: 10.1016/j.anl.2015.09.012.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Primary ciliary dyskinesia with complex abnormalities including cleavage of B-subfibers.2016

    • 著者名/発表者名
      Orimo K, Kondo M, Arimura K, Takeyama K, Takeuchi K, Tamaoki J.
    • 雑誌名

      Respirol Case Rep

      巻: 4 ページ: e00150

    • DOI

      doi: 10.1002/rcr2.150.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Diagnosis of Primary Ciliary Dyskinesia by a Targeted Next-Generation Sequencing Panel in Japanese Patients2016

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Takeuchi, Kaname Nakatani, Makoto Ikejiri, Satoru Ogawa, Mizuho Nagao, Takao Fujisawa, Koji Ikegami
    • 学会等名
      The 28th CDB Meeting,Cilia and Centrosomes
    • 発表場所
      理化学研究所(兵庫県・神戸市)
    • 年月日
      2016-11-27 – 2016-11-29
    • 国際学会
  • [学会発表] 遺伝子診断パネルによる原発性線毛運動不全症の診断2016

    • 著者名/発表者名
      竹内万彦、北野雅子
    • 学会等名
      日本鼻科学会
    • 発表場所
      栃木県総合文化センター(栃木県・宇都宮市)
    • 年月日
      2016-10-16

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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